工場や建設現場で聴覚保護具を支給するとき、耳栓とイヤーマフのどちらがよいかは、遮音値の大きさだけでは決まりません。先に作業場の騒音を測り、警報や合図を聞く必要性、ヘルメットや保護メガネとの併用、装着を続けられるかまで確かめる必要があります。この記事では、測定結果から必要な遮音量を考え、候補を試して支給後の運用を整えるところまで、発注担当者が判断しやすい順に解説します。

この記事を書いた人中村被服 企業ユニフォーム事業部創業100年以上・山口県防府市。山口の企業のユニフォーム発注を、営業が現場で日々お手伝いしています。プロフィール →

目次

結論:遮音値の大きいものを選べばよい、という話ではない

先に結論をお伝えすると、耳栓とイヤーマフは「必要かつ十分に音を下げ、作業中に正しく着け続けられるもの」から選びます。カタログ上の遮音値が最大の製品を一律に配ればよいわけではありません。音を下げすぎると警報や車両の接近に気づきにくくなり、反対に装着が緩めば想定した保護を得られません。

選定は、作業場の騒音レベルを把握するところから始まります。次に、周波数ごとの音の特徴、ばく露時間、会話や合図の必要性を整理します。その条件に合う耳栓またはイヤーマフを数種類に絞り、他の保護具をすべて着けた状態で試す、という順番です。

耳栓は軽く、狭い場所や暑い環境でも使いやすい一方、耳の穴の形や入れ方によって効果が変わります。イヤーマフは着脱と目視確認がしやすい反面、重さや蒸れがあり、髪、眼鏡のつる、ヘルメットの部品が密着を妨げます。非常に強い騒音では両者の併用が候補になりますが、遮音値を単純に足して選ぶことはできません。

ポイント

発注品を先に決めず、「どの場所で、誰が、何を着け、どの音を聞く必要があるか」を一枚の条件表にします。同じ工場でも、固定機械の監視と工具を持って移動する作業では適する製品が変わります。

なお、聴覚保護具は最後の防護手段です。機械の低騒音化、防音カバー、吸音、作業位置や時間の変更など、音源と伝わり方への対策を先に検討します。そのうえで残る騒音への対策として選ぶと、保護具だけに負担を集中させずに済みます。聴覚以外の危険も含めて選定の順序を整理するなら、危険源から保護具の種類を選ぶ方法も判断の土台になります。

測って、条件を整理してから試着する カタログの遮音値だけで決めず、実際の作業条件を順番に確かめる 1 騒音を測る 耳元のレベルに加え 変動・時間帯も確認 2 条件を整理 警報・合図・会話と 併用する保護具を確認 3 候補を絞る 必要な遮音量を満たす 形・サイズを複数用意 4 全装備で 試着する 密着・聞こえ方・ 続けやすさを確認 「正しく着け続けられるか」まで確認して支給品を決める

最初の候補選びでは、耳栓かイヤーマフかを会社全体で二者択一にする必要もありません。工程別に使い分けたり、複数の形とサイズから本人が合うものを選べるようにしたりする方が、着用率を上げやすくなります。支給数より「正しく着けている時間」を見ることが、難聴の予防につながります。

まず作業場の騒音レベルを把握する|測定と管理区分の考え方

耳栓やイヤーマフを比較する前に、通常の操業状態でどれだけの騒音にさらされるかを確認します。機械のカタログ値や、静かな時間帯に入口で測った値だけでは、作業者の耳元の状況を表せないことがあります。材料投入、打撃、エアブロー、切断など、一日の中で音が変わる工程も対象です。

A測定・B測定・個人ばく露測定を使い分ける

屋内の単位作業場所では、一定の間隔で測定点を置くA測定が作業場全体の状態を捉えます。騒音源の近くで作業する場所では、音が最も大きくなりやすい位置を捉えるB測定も行います。音源や作業者が移動する現場では、作業者が携帯する機器による個人ばく露測定が実態に合う場合があります。

スマートフォンのアプリは、音が大きそうな場所を洗い出す予備確認には使えます。ただし、端末のマイクや校正状態がそろわないため、管理区分や保護具の選定を決める正式な測定の代わりにはしません。対象作業場に必要な測定方法は、作業環境測定機関などの専門家へ確認する方が確実です。

85dBと90dBを境にした管理区分

厚生労働省の「騒音障害防止のためのガイドライン」では、A測定の平均値とB測定の値を組み合わせ、第Ⅰから第Ⅲまでの管理区分で評価します。概要は次のとおりです。実際には対象作業場、測定条件、定期測定の要否も確認してください。

評価の目安管理区分考え方
A測定平均値・B測定とも85dB未満第Ⅰ管理区分現在の良好な状態を継続して保つ
いずれかが85dB以上90dB未満で、90dB以上はない第Ⅱ管理区分設備や作業方法の改善余地を検討し、必要な措置を取る
A測定平均値またはB測定が90dB以上第Ⅲ管理区分作業環境管理が適切でない状態として改善を進める

第Ⅱ・第Ⅲ管理区分になったから、すぐに高遮音の耳栓を配って終わり、とは考えません。低騒音型設備への変更、発生原因の除去、防音カバー、距離、遮蔽、作業時間の見直しを組み合わせます。第Ⅲ管理区分では、改善措置と効果確認を優先して進める必要があります。

「機械の近くはうるさいけれど、通路は大丈夫」という現場は多いです。

入口の一回測定だけで決めず、実際に人が立つ場所と時間を分けて見てください。

健康管理では、騒音作業に就く人の聴力を継続して確認する視点も欠かせません。雇入れ時や配置替え時の状態が分かれば、定期の聴力検査で変化を追いやすくなります。耳鳴りや聞こえにくさの申告があったときは、保護具の強化だけで済ませず、産業医や耳鼻咽喉科医の判断につなげます。

測定と管理区分の詳しい対象、措置、健康診断については、厚生労働省の騒音障害防止対策の資料で現行内容を確認できます。設備や工程を変えた後は、以前の測定値をそのまま使わず、騒音がどう変わったかを見直します。

耳栓とイヤーマフの違い|遮音の出方と向いている作業

耳栓は外耳道に入れて音の侵入を抑え、イヤーマフは耳全体をカップで覆います。どちらも正しく装着すれば保護に役立ちますが、作業者が感じる負担と、性能が崩れる原因は同じではありません。発注担当者は遮音値に加え、装着確認、衛生、交換、他装備との相性まで比べます。

比較項目耳栓イヤーマフ
主な形発泡フォーム、あらかじめ形のある成形型、バンド付きなどヘッドバンド型、首の後ろに回す型、ヘルメット取付型など
長所軽く、狭い場所で邪魔になりにくい。暑い環境でも耳周りの蒸れが比較的少ない着脱が早く、管理者が着用を目で確認しやすい。耳の穴へ入れることに抵抗がある人も選びやすい
注意点耳の形とサイズ、挿入の深さで遮音が変わる。汚れた手で触ると衛生面の問題が出る髪、帽子、保護メガネのつるでクッションに隙間ができる。重さ、締め付け、暑さを感じやすい
短時間の出入り毎回正しく入れ直す時間がかかる頻繁な着脱をしやすいが、頭上へずらしたまま戻し忘れない管理が要る
保管個包装やケースで清潔に保ち、使用済みと新品を分けるカップやクッションを変形させず、乾燥した場所へ置く
向きやすい場面ヘルメットとの干渉を避けたい作業、狭所、長時間の連続装着検査や巡回で騒音区域へ短時間入る作業、着用確認を重視する場面

発泡フォーム型の耳栓は、細く圧縮し、耳を引き上げて外耳道へ入れ、膨らむまで押さえる製品が一般的です。成形型はその手順が異なる場合があるため、似た形でも取扱説明書を優先します。左右で耳の穴の大きさが違う人もいるので、一種類一サイズだけで全員へ合わせるのは無理が出ます。

イヤーマフは、短い出入りのたびに着脱しやすく、装着の有無も外から確認できます。ただし、耳を覆っていれば密着しているとは限りません。クッションの全周が頭部へ触れ、バンドの位置と長さが合っていることが前提です。

形状の異なる耳栓とイヤーマフの比較
形状によって装着方法と向く作業が異なります(イメージ)

現場ごとの装備全体も見てください。工場の服装や工程条件を整理するなら工場の作業着を安全・季節・運用から選ぶ基準が、屋外や移動の多い仕事なら建設業のユニフォームと保護具を一緒に考える視点が参考になります。聴覚保護具だけを別発注にせず、朝から終業までの装備として評価すると干渉を見つけやすくなります。

遮音値の読み方と必要な遮音量の決め方

製品の包装や仕様書には、周波数帯別の遮音値や、SNR、NRRなどの単一数値が表示されることがあります。ここで注意したいのは、表示方式が違う数値を同じ物差しとして横並びにしないことです。試験方法や基準となる騒音測定値が異なるため、数字だけを見た大小比較では装着時の音を正しく見積もれません。

単一数値だけでなく周波数帯を見る

金属の打撃音、回転機械の低い音、エアの高い音では、含まれる周波数が違います。聴覚保護具も周波数ごとに遮音性能が異なるため、作業場の周波数分析結果と製品の周波数帯別データを照合すると、選択の精度が上がります。低周波成分が大きい現場で、単一の遮音値だけを引き算するのは避けます。

SNRを用いる推定では、C特性で測った騒音レベルを使う方法があります。A特性の測定値しかない場合や、NRR表示の製品を比較する場合は、製品メーカーや測定の専門家へ計算方法を確認してください。任意に一定の数字を差し引く方法は、製品ごとの試験情報と現場条件を落としてしまいます。

必要量は「保護具を着けた耳元の推定値」から考える

実務では、作業ごとの測定結果、ばく露時間、製品の遮音データを一枚に並べ、装着時に耳へ届く騒音レベルを推定します。厚生労働省がガイドラインの見直し方針で示した考え方では、聴覚保護具を装着した状態で耳に到達する騒音の実効値が、おおむね70〜80dBの範囲に収まるようにするとされています。ガイドライン本文で軸になるのは、ばく露を等価騒音レベル85dB未満に抑えることです。70〜80dBという幅は、製品ラベルの数値を機械的に引けば達成できるという意味ではなく、遮音のしすぎを避けるための検討材料になります。

たとえば、測定結果が同じでも、勤務中ほぼ連続して音を受ける人と、点検時だけ区域へ入る人では、ばく露の捉え方が変わります。衝撃音や大きな変動がある現場では、平均値だけでなく作業の瞬間的な特徴も専門家へ伝えます。選定表には測定位置、測定日、設備の稼働状態、作業時間を残しておくと、設備変更後の再評価に使えます。

注意

カタログの遮音値は所定の試験条件で得た値です。実際の装着では、耳栓のサイズや入れ方、イヤーマフの隙間、劣化によって効果が下がります。表示値が現場でそのまま得られる前提で、ぎりぎりの製品を選ばないでください。

候補を絞った後は、可能ならフィットテストで個人ごとの遮音効果を確認します。測定機器を使う方法のほか、メーカーが案内する装着確認法もあります。数値を残せない場合でも、教育後に管理者が装着状態を目視し、本人が違和感や聞こえ方を報告できる時間を設けます。

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遮音しすぎると起きること|警報・合図・会話が聞こえない

必要以上に遮音すると、設備の異常音、フォークリフトの接近、退避の警報、同僚の合図を捉えにくくなることがあります。聞くために保護具を外す行動が増えれば、着脱のたびに騒音へさらされます。安全のための製品が別の危険を増やさないよう、聞く必要がある音を選定条件へ入れます。

先に「聞こえなければ困る音」を一覧にする

警報音の種類、車両のバックブザー、機械の起動合図、無線、対面の指示などを、工程ごとに洗い出します。そのうえで候補品を装着し、通常の作業姿勢と距離で認識できるかを確認します。静かな会議室で会話だけを試しても、騒音下の聞こえ方は再現できません。

音だけに頼っている警報は、赤色回転灯などの視覚表示や振動による通知と組み合わせる方法があります。手信号を使うなら意味を統一し、死角や暗所でも見えるかを確かめます。保護具を外さなくても意思伝達できる仕組みを先に整えることが大切です。

イヤーマフ装着中に光の警報と手信号を確認する作業者
警報と合図を保護具を外さず認識できるようにします(イメージ)

会話が多い工程では、必要な周波数を通しやすいフィルター付き耳栓や、外部音を取り込むレベル依存型・電気式のイヤーマフも候補になります。ただし、電池が切れたときの動作、受動的な遮音性能、使用できる環境、無線機との接続条件は製品ごとに異なります。防爆上の制約がある区域では、電気機器として使用可否を別に確認します。

「合図が聞こえないから片耳だけ外す」は、選び方か伝達方法が合っていないサインです。

本人の注意不足で終わらせず、外さずに働ける条件へ戻してみてください。

試用時は「聞こえたか」だけでなく、聞き間違い、反応の遅れ、保護具をずらした回数も記録します。聴力には個人差があり、全員が同じ製品で同じ聞こえ方になるとは限りません。安全上必要な音の認識と十分な遮音が両立しないときは、保護具だけで解決しようとせず、作業区域や連絡方法を見直します。

ヘルメット・保護メガネと併用すると遮音が落ちる

イヤーマフのクッションと頭部の間に少しでも隙間ができると、期待した遮音を得にくくなります。保護メガネの太いつる、ゴーグルのバンド、ヘルメットのあごひも、帽子やフード、髪は代表的な干渉要因です。イヤーマフ単体でよく密着していても、現場の装備を重ねた瞬間に条件が変わります。

ヘルメット取付型は適合する組み合わせで使う

ヘルメット取付型のイヤーマフは、どの帽体にも付くわけではありません。取付部の形が合って見えても、メーカーが適合を確認していない組み合わせでは、保持力や密着、ヘルメット本来の性能を保証できないことがあります。穴開け、削り、接着などの自己流の改造は避け、適合表と取扱説明書で組み合わせを確認します。

ヘルメットの使用条件や交換判断も同時に整理するなら、ヘルメットの使用期限と交換時期の考え方も確認してください。新しいイヤーマフを後付けする場合は、現場で使用中の帽体の品番、取付スロット、あごひも、シールドまで記録すると、発注後の不適合を減らせます。

保護メガネは細いつるでも実物で確認する

細いつるの保護メガネは比較的隙間を抑えやすいものの、顔幅やイヤーマフのクッション形状によって結果が違います。ゴーグルのバンドをクッションの下へ通すと大きな段差になりやすいため、メーカーが示す装着位置を守ります。防じんマスクや溶接面も使う人は、それらを含むフル装備で動いてもらいます。眼鏡の形状やゴーグルとの使い分けも見直す場合は、保護メガネの選び方と眼鏡対応・曇り対策まで一緒に確認すると、干渉しにくい候補を絞りやすくなります。

併用試験でそろえる装備

  • 実際に使用するヘルメット、あごひも、シールド
  • 保護メガネまたはゴーグル、防じんマスク
  • 帽子、フード、無線機、季節ごとの作業服
  • 候補の耳栓・イヤーマフとサイズ違い

試着は直立した状態だけで終えません。上を向く、しゃがむ、腕を上げる、工具を構えるなど、普段の動作でイヤーカップやバンドがずれないかを見ます。汗をかく季節と防寒着を着る季節で装備が変わるなら、季節ごとに再確認する方が安全です。

装着で性能が変わる|耳栓は入れ方、イヤーマフは髪と眼鏡のつる

適切な製品を買っても、装着が不十分ならカタログ上の性能には近づきません。教育では説明書を配るだけでなく、管理者が実演し、各作業者がその場でやって見せる時間を取ります。着け心地の感想と、正しく密着した状態を分けて確認することが必要です。

発泡フォーム耳栓は「細くする・耳を引く・待つ」

一般的な発泡フォーム型は、清潔な指で全体を細い円筒状にし、反対側の手で耳を上後方へ引いて外耳道を通しやすくします。耳栓を入れた後は、膨らんで安定するまで指で押さえます。先端だけを浅く入れた状態や、しわの多い塊にした状態では、隙間が残りやすくなります。

製品によって挿入方法は異なるため、成形型や持ち手付きへ同じ手順を流用しません。痛みがある、すぐ浮く、左右差が大きい場合は、無理に深く押し込まず別の形やサイズを試します。耳の治療中、耳だれ、皮膚の異常がある人は、産業医などへ相談できる経路を用意します。

耳栓を渡しただけでは、正しい深さはなかなか伝わりません。

鏡を見ながら一度練習すると、「いつもの浅い入れ方」との違いに気づきやすいですよ。

装着後は、左右が同じように収まっているか、声や周囲の音の変化に不自然な差がないかを確かめます。手で耳を覆ったときと離したときの聞こえ方を比べる確認法が案内されることもありますが、製品メーカーの方法に従います。現場で必要な遮音効果を数値で確かめるなら、個人フィットテストが有効です。

発泡フォーム耳栓は「細くする・耳を引く・待つ」 製品の取扱説明書を確認し、清潔な手で片耳ずつ装着する 1 細く丸める 全体をしわの少ない 細い円筒状にする 2 耳を引く 反対側の手で耳を 上後方へ引き上げる 3 挿入して待つ 膨らんで安定するまで 指で押さえて待つ 先端だけを浅く入れず、痛みがあれば無理に押し込まない

イヤーマフは耳全体がカップの内側へ入り、クッションの全周に髪や装備が挟まっていない状態にします。長い髪は密着面から外し、保護メガネのつるがクッションを大きく持ち上げていないかを横から見ます。ヘッドバンドを帽子の上へ載せる使い方が認められるかも、製品の説明書で確認してください。

監督者の目視確認は、取り締まりのためだけに行うものではありません。作業中に耳栓が浮く、イヤーマフがずれる、汗で外したくなるという情報を拾えば、サイズ追加や休憩時の清掃へつなげられます。聴力を守る運用は、着用していない人を数えるより、外した理由を減らす方が定着します。

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交換と衛生|使い捨て・洗浄・イヤークッションの劣化

交換時期は「全員一律で何日」と決めるより、製品区分、使用環境、汚れ、変形、メーカーの指示で管理します。使い捨て耳栓、洗って再使用できる耳栓、イヤーマフでは、手入れと交換部品が違います。油、粉じん、汗、水分の多い現場ほど、清潔な保管場所と予備の置き方が効いてきます。

種類日常確認交換を検討する状態衛生管理
使い捨て耳栓個包装の破れ、濡れ、汚れ、復元の状態汚れた、硬くなった、元の形へ戻りにくい、正しく収まらない使用済みを新品へ戻さず、廃棄場所を決める
再使用型耳栓フランジの裂け、軸の曲がり、汚れ変形、亀裂、べたつき、洗っても汚れが残る指定方法で洗浄・乾燥し、個人別ケースで保管する
イヤーマフクッションの弾力、表面の破れ、バンドの保持力硬化、ひび、つぶれ、密着不足、異音や部品の緩み指定方法で表面を清掃し、クッションを変形させず乾かす

洗浄できる製品でも、洗剤や消毒剤を自由に選べるとは限りません。素材が硬くなる、ひびが入る、電気式部品へ液が入る可能性があります。清掃方法と使用できる薬剤は取扱説明書を優先し、電気式イヤーマフは電池や端子の扱いも確認します。

注意

イヤーマフを共用するときは、使用者が替わる間の清掃方法と乾燥時間を決めます。皮膚へ触れるクッションや内側のフォームが交換部品として用意されているかを、導入前に確認しておくと管理しやすくなります。

交換基準は外観写真と短い言葉で掲示すると、作業者が申し出やすくなります。「遮音が落ちたと感じたら」だけでは、徐々に進む劣化を見逃します。作業用品全体の基準をそろえるときは、作業服の買い替え時期と交換基準を決める方法も運用表づくりの参考になります。

在庫には新品、個人へ配布済み、交換予定、廃棄済みの区分を持たせます。使い捨て耳栓は毎月動く消耗品なので、現場入口から自由に取る方式と個人へ一定数を渡す方式では、必要数量も請求書の内訳も変わります。使用量の増加を無駄と決めつけず、入場者数や応援作業の増減と合わせて見ます。

支給して定着させる進め方

配っても使われない状態を避けるには、まとめ買いの前に小さく試します。作業工程と測定結果から候補を絞り、耳栓は複数の形とサイズ、イヤーマフは装備との適合が異なる候補を用意します。実際に使う人が選定へ参加すると、痛み、蒸れ、合図の聞こえ方など、仕様書では分からない問題が早く見つかります。

試用は一瞬の試着ではなく通常作業で行う

試用では、装着にかかった時間、途中で直した回数、痛みや圧迫感、汗、警報と会話の認識、他装備との干渉を記録します。開始直後は快適でも、時間がたつと耳栓が押し出されたり、イヤーマフの締め付けが負担になったりします。通常の作業時間帯で評価し、設備が止まった日の感想だけで決めません。

評価票は自由記述だけにせず、「着け続けられた」「途中で直した」「外した」といった選択肢を設けると比較しやすくなります。外した場合は理由も聞きます。遮音不足、合図が聞こえない、痛い、暑い、汚れた手で触れないなど、理由ごとに対策が変わります。

配布場所と補充責任を決める

使い捨て耳栓を現場入口へ置けば、来訪者や一時作業者にも渡しやすくなります。一方で、使用量を個人別に追いにくく、湿気や粉じんから在庫を守る容器も必要です。個人配布は数量を把握しやすいものの、忘れた人がすぐ補充できる予備の置き場が欠かせません。

耳栓と交換用イヤークッションを分けた保管棚
新品、交換部品、使用済みを混ぜずに管理します(イメージ)

月ごとの購入数は、在籍人数だけでなく、稼働日、交替勤務、入場者、汚れによる途中交換で見積もります。部署別に費用を分けるなら、注文時点で品名、数量、納品先を分けておくと請求書の照合が楽になります。採用品が増えすぎないよう、標準品と個別対応品を区分して登録します。

一種類を大量に買った後で「痛くて使えない」と分かるのが、いちばん困ります。

最初は候補を絞りすぎず、サイズ違いを通常作業で比べる方が話が早いです!

教育は導入時だけで終えず、新入者、配置替え、製品変更、装備変更の機会に繰り返します。掲示には対象区域、正しい装着、交換の目安、保管場所、異常時の連絡先を載せます。外国人作業者や文字を読みづらい人がいる現場では、写真や実演を組み合わせます。

定着確認では、支給簿だけでなく、正しく着けているか、必要区域で外していないか、補充切れがないかを見ます。月次の安全ミーティングで外した理由と改善結果を共有すると、個人の我慢に頼らない運用になります。記録様式や役割分担をほかの装備とそろえるときは、保護具の日常点検・定期点検と台帳管理の進め方も参考になります。聴覚保護具の担当、測定の担当、健康診断の担当をつなぎ、聴力の変化や設備変更を選定へ戻せる流れを作ります。

耳栓・イヤーマフの選び方でよくあるご質問

最後に、発注や運用の段階で判断に迷いやすい点をまとめます。個別の作業場では測定結果と製品仕様が優先されるため、回答をそのまま全工程へ当てはめず、確認項目として使ってください。

騒音が85dB未満なら聴覚保護具は不要ですか?

一回の測定値が85dB未満だっただけでは決められません。設備の運転状態、測定位置、ばく露時間、衝撃音、日ごとの変動を確認します。対象作業場の法令上の措置とは別に、健康診断の所見や作業条件から保護が必要になる場合もあるため、専門家と評価してください。

耳栓は一つのサイズを全員へ配ってもよいですか?

耳の穴の形と大きさには個人差があるため、一種類だけでは痛みや緩みが出る人がいます。複数の形・サイズを試し、正しい方法で装着したときの密着と着け心地を確認します。左右で違うサイズが合う場合もあるので、本人が選べる運用が現実的です。

耳栓とイヤーマフを併用すれば遮音値は合計できますか?

両者の表示値は単純に足せません。音は骨などからも伝わり、組み合わせによる効果には限界があります。非常に強い騒音で併用する場合は、作業場の測定結果と、メーカーが示す組み合わせ情報を使い、警報や合図の認識も含めて専門家へ確認します。

イヤーマフの片側だけを外して会話してもよいですか?

騒音区域で片側を外すと、その間は片耳が保護されません。会話のたびに外すなら、遮音しすぎ、連絡方法、製品の種類のどこかが作業に合っていない可能性があります。区域外へ移動する、視覚合図を使う、会話対応型の候補を評価するなど、外さない方法へ変えます。

耳栓が汚れたときは洗って再使用できますか?

洗えるかどうかは製品によります。使い捨ての発泡フォーム型を自己判断で洗うと、復元性や表面の状態が変わり、衛生と遮音の両方に影響することがあります。再使用型も指定された洗浄方法と乾燥方法を守り、変形や亀裂があれば交換します。

補聴器を使っている人には何を支給すればよいですか?

補聴器の上から一般的なイヤーマフを着ければよい、と一律には決められません。補聴器による音の増幅、イヤーカップとの接触、ハウリング、必要な警報の聞こえ方を個別に評価する必要があります。本人の主治医、産業医、聴覚保護具と補聴器のメーカーへ確認します。

本記事の情報について

本記事は、耳栓・イヤーマフの選定と運用に関する一般的な情報提供を目的とし、2026年8月27日時点で確認できる厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドライン」などを基に作成しています。必要な措置は、作業場の種類、騒音測定の結果、設備、作業時間、労働者の健康状態によって異なります。実際の測定、管理区分、健康管理、法令上の対応は所轄の労働基準監督署や労働安全衛生の専門家へ、製品の適合、遮音値、併用、洗浄、交換は各メーカーへ確認してください。

よくあるご質問

スマートフォンアプリの測定値で耳栓を選べますか?

アプリは騒音が大きそうな工程や時間帯を探す予備確認には役立ちますが、端末のマイク性能や校正状態がそろいません。管理区分の評価や必要遮音量の決定には、対象作業場に合う方法と校正された測定器を使い、作業環境測定機関などの専門家へ確認してください。

耳栓は一つのサイズを全員へ支給できますか?

耳の穴の形や大きさには個人差があり、同じ人でも左右差があるため、一種類だけでは痛みや緩みが出る場合があります。複数の形とサイズを通常作業で試し、正しい装着後の密着、聞こえ方、途中で浮かないかを確認し、本人が無理なく合うものを選べるようにします。

耳栓とイヤーマフの遮音値は足し算できますか?

表示された二つの遮音値を単純に加えることはできません。併用しても音の伝わり方には限界があり、製品の組み合わせでも効果が変わります。非常に強い騒音で併用する場合は、現場の測定結果とメーカーの組み合わせ情報を基に、警報や合図の認識も含めて専門家へ確認します。

保護メガネを掛けたままイヤーマフを使えますか?

使用できる組み合わせはありますが、眼鏡のつるがイヤークッションを持ち上げると隙間ができ、遮音が下がることがあります。候補の保護メガネ、ヘルメット、マスクをすべて着け、通常の姿勢と動作で密着を確認します。細いつるでも顔幅やクッション形状により結果は変わります。

使い捨て耳栓は一日に何回交換すべきですか?

一律の回数では決めず、メーカーの指示と、汚れ、濡れ、硬化、復元しにくさ、正しく収まるかで判断します。汚れた手で何度も入れ直す作業や、油・粉じんの多い現場では交換が増える場合があります。使用済みと新品を分け、すぐ補充できる保管場所も決めてください。

補聴器を使う人にはイヤーマフを支給すればよいですか?

補聴器の上から一般的なイヤーマフを着ける方法を一律に採用するのは避けます。音の増幅、ハウリング、カップとの接触、警報の聞こえ方を個別に評価する必要があります。本人の主治医や産業医、補聴器と聴覚保護具のメーカーへ相談し、作業条件に合う方法を決めてください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。規格・法令の適用可否や最新の仕様は、製品カタログや公的機関・各メーカーの情報で必ずご確認ください。

中村被服株式会社 企業ユニフォーム事業部

大正13年(1924年)創業、100年以上にわたる被服づくりの経験を活かし、山口県防府市を拠点に製造業の作業服・事務服・空調服・保護具の選定から、社名刺繍・プリントの自社加工、名入れ後の追加発注まで対応しています。山口・広島・福岡エリアの現場のユニフォームを、選定から運用までまるごとお手伝いしています。