ヘルメットや安全靴、保護手袋を用意するとき、「代金は会社負担か」「本人へ買わせてもよいか」で迷うことがあります。作業着と同じ支給ルールを当てはめたくなりますが、危険から身を守る保護具は、法令上の位置づけを先に確認しなければなりません。この記事では、保護具の支給義務と費用の考え方、人数分の備え方、上位品の差額、私物の持ち込み、消耗品の補充、就業規則へ書く内容まで、発注と管理の順に整理します。
目次
結論:保護具は「負担を決める」前に事業者が備える側の物
業務上の危険を防ぐために必要な保護具は、「会社と従業員のどちらが買うか」を自由に決める一般の持ち物とは扱いが異なります。労働安全衛生法をはじめとする安全衛生関係の法令では、作業の危険に応じて、事業者が適切な保護具を備え、使用させることが求められる場合があります。行政の解釈でも、法令に基づき事業者が備える保護具の費用は、事業者が負担すべきものとされています。
そのため、「保護具は会社負担か、支給義務があるか」という疑問には、まず対象作業で何を備える必要があるかを確認し、必要な標準品を会社側で用意する、という順で考えます。本人が欲しい品を各自で買い、あとから一律額を精算する方法では、性能、使用期限、点検記録がばらつきやすくなります。会社が採用品と交換条件を決め、支給または貸与の履歴を残すほうが管理しやすいです。
費用の議論より先に、危険・必要性能・対象人数・交換条件を決めることが出発点です。保護帽、安全靴、保護眼鏡、保護手袋などは、名称だけで必要性を判断できません。同じ部署でも工程や設備が違えば、必要な種類と性能が変わるためです。

発注担当者は、現場責任者や安全衛生の担当者が定めた条件を、品番と数量へ置き換えます。最初に作業別の採用品を決め、同時に働く人数、サイズ別の内訳、洗浄中の代替、破損時の予備を加えると、必要数が見えます。予算だけを人数で割って品物を選ぶと、必要性能を満たさない品を混ぜるおそれがあります。
ポイント
「会社が何円まで出すか」から始めず、対象作業で必要な保護具と標準品を決めます。その標準品を会社が用意し、希望による上位品だけを別の論点にすると、義務と福利厚生を混同しにくくなります。
作業着と保護具は法令上の位置づけが違う
一般的な制服や作業着は、統一感、汚れ対策、仕事のしやすさといった目的でも導入されます。費用を会社負担にするか、自己負担を設けるかは、用途や運用、社内ルールによって検討されます。一方、危険を防ぐため法令上必要になる保護具は、単なる服装ルールとして同じ表へ入れるべきではありません。
たとえば、社名入りの上着と保護帽を同じ日に渡しても、管理の根拠は同じとは限りません。上着は会社の識別や汚れ防止が主目的でも、保護帽は飛来・落下など対象となる危険に合わせて選ばれることがあります。「入社時に一式支給」という見た目だけで、紛失時の扱いや交換周期まで一律にしないことが大切です。
| 比較する項目 | 一般的な作業着 | 業務上必要な保護具 |
|---|---|---|
| 選ぶ出発点 | 服装の統一、汚れ、動きやすさ、職場の印象 | 作業にある危険と、危険を防ぐために必要な性能 |
| 費用の考え方 | 目的や社内制度を踏まえて会社負担・自己負担を検討 | 事業者が備える必要性を確認し、必要品の費用を先に確保 |
| 交換の理由 | 摩耗、見た目、サイズ変更、統一品の更新 | 破損、汚染、有効性の低下、使用条件や期限、作業変更 |
| 管理記録 | 支給枚数、サイズ、返却など | 対象作業、品番、支給・貸与、点検、交換理由まで記録 |
作業着の費用ルールを検討している場合は、作業着の会社負担・自己負担と給与控除の考え方を別に確認すると整理しやすくなります。同じ規程に収める場合でも、「作業着」と「安全衛生上必要な保護具」の項目を分けてください。保護具まで作業着の自己負担上限へ含めると、必要品の交換をためらわせる運用になりかねません。
注意
呼び名ではなく用途で分けます。「安全ベスト」「安全スニーカー」と呼ばれていても、着用目的や性能が曖昧なら、それだけで法令上の保護具とは判断できません。反対に、一般的な衣服に見えても、危険防止のため使用させるものは安全衛生上の検討が必要です。
どこからが保護具かを線引きする
保護具売場には、安全靴、手袋、レインウェア、反射材付きの服などが並んでいます。しかし、同じ売場にあることや商品名に「安全」と付くことは、会社が備える範囲を決める根拠にはなりません。対象の作業にどのような危険があり、その危険を設備や作業方法だけで十分に避けられず、何を着用させる必要があるかで線を引きます。
商品分類ではなく作業と危険を対応させる
重量物の落下や踏み抜きが想定される足元、飛来物や落下物が想定される頭部、薬品の飛沫が届く目や顔、鋭い端部へ触れる手では、確認する性能が異なります。候補を整理するときは、保護具の種類を危険源から選ぶ方法と照合すると、守る部位だけで選ぶ誤りを避けやすくなります。保護具は危険を減らす最後の手段として使われることが多く、着用させれば設備側の対策が不要になるわけではありません。まず危険源を除去・低減し、それでも残る危険に対応する品を選びます。
労働安全衛生規則第558条には、作業中の労働者に履物を使用させる場合、作業状態に応じ、安全靴その他の適当な履物を定め、その履物を使用させる旨の定めがあります。安全靴が必要か、どの先芯や靴底が合うかは、安全靴の規格・先芯・靴底を現場別に選ぶ方法も参照し、足元の危険とセットで確認してください。
作業服が危険防止の役割を持つ場合もある
労働安全衛生規則第110条では、動力により駆動される機械に作業中の労働者の頭髪または被服が巻き込まれるおそれがあるとき、適当な作業帽または作業服を着用させることに触れています。これは、すべての作業帽や作業服が同じ保護具になるという意味ではありません。裾や袖の形、着用状態を、対象設備の巻き込まれの危険と結び付けて判断します。
通常のポロシャツは制服でも、熱や火花、薬品、視認性など特定の危険へ対応する衣服は、別の性能確認が必要です。逆に「作業用」と書かれた衣服でも、必要な保護性能が示されていなければ代用できるとは限りません。現場で使う名称と、発注時に確認する仕様を分けて記録します。

線引きに迷ったら、作業名、危険源、守る部位、必要性能、採用品の順で一行にします。たとえば「荷役」だけでは広すぎますが、「重量物の落下から足先を守る」と書けば、履物に求める条件を確認できます。保護帽の種類や交換を考える際は、ヘルメットの使用期限と交換時期の考え方も参考になります。
「売場で安全用品になっていたので、全部同じ扱いですか」という迷いはよくあります。
商品名より、何の危険からどこを守る品かを書き出すと線引きしやすいですよ。
「備える」とは人数分・清潔・有効に保つところまで
必要な保護具を一度購入すれば、事業者の対応が終わるわけではありません。法令上、保護具は同時に就業する人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持する趣旨の定めがあります。人数ちょうどの初回購入だけでは、破損、汚染、洗浄、サイズ交換、新入社員や応援者への対応が重なったときに不足します。
同時就業人数からサイズ別の必要数へ分ける
在籍人数ではなく、同じ時間帯に対象作業へ入る最大人数を起点にします。次に、個人専用品、複数人で共用できる品、洗浄・点検中に使えない品を分けます。安全靴や密着性が重要な品を「共用一足」で済ませると、サイズが合わず、着用されない原因になります。
必要数は「対象者数+予備」という一つの式だけで固定できません。サイズの偏り、夜勤の交換窓口、洗浄から戻るまでの日数、破損の頻度を重ねて考えます。まず少数で試用する場合も、本運用に入る日までに全シフトへ行き渡る数量と補充経路を用意してください。
| 数量へ置き換える項目 | 確認する内容 | 発注・在庫への反映 |
|---|---|---|
| 同時就業人数 | 対象工程へ同時に入る最大人数、応援者、教育中の人 | 最低限必要な使用中数量を把握する |
| 個人差 | 靴、手袋、保護帽などのサイズと調整範囲 | 総数だけでなくサイズ別に発注する |
| 使用できない時間 | 洗浄、乾燥、点検、修理、隔離にかかる時間 | 戻るまでの代替品を持つ |
| 突発的な交換 | 破損、紛失、汚染、作業変更の発生状況 | 品番・サイズ別の予備と発注点を決める |
清潔と有効性は別々に点検する
見た目がきれいでも、割れ、変形、締結部の不具合、部品の劣化があれば、期待した働きをしない可能性があります。反対に性能部分が無傷でも、油や薬品、汗、粉じんで汚染されていれば、そのまま次の人へ貸与できません。「清掃済み」と「点検済み」を同じ印にせず、戻す前の確認項目を分けます。
保護具ごとに、着用前に本人が見る箇所、定期的に管理者が見る箇所、交換する状態を決めます。品目別の確認箇所や台帳へ落とし込む手順は、保護具の日常点検・定期点検と交換時期も参照すると具体化できます。取扱説明や製品表示に使用・保管・交換の条件がある場合は、それを社内ルールより優先します。異常品を新品棚へ戻さないよう、回収箱や隔離場所も必要です。
支給は所有権を本人へ移す形、貸与は会社の物として使用させる形ですが、どちらの名称でも安全管理が不要になるわけではありません。個人に支給した品も、対象作業で正しく使われ、異常時に交換できる状態を保ちます。貸与品は返却の有無だけでなく、点検後にどの棚へ戻したかまで追えると取り違えを防げます。
人数分を買ったのに、夜勤で交換品がないということが起きやすいんです。
洗浄中と破損時の分を別に数えると、必要な予備が見えてきます。
従業員の希望で上位品を選ぶときの差額の扱い
会社が必要性能を満たす標準品を用意したうえで、従業員が履き心地や色、付加機能を理由に別の上位品を希望することがあります。この場合は、法令上必要な保護具そのものの費用と、本人の希望による追加部分を分けて考えます。標準品を用意せず「好きな物を買い、上限を超えた分は自己負担」とするだけでは、会社が必要品を備える責任が曖昧になります。
支給にするか自己負担を設けるか、給与から差し引けるかという労務側の詰め方も必要です。ここでは、決めたルールを見積書と請求書の形へ落とす部分に絞ります。書類の作り方まで決めていないと、せっかく分けた標準品と希望品が、納品時には一つの合計金額に戻ってしまうためです。
最初に標準品と選択できる範囲を決める
標準品は、対象作業に必要な性能、サイズ、使いやすさを満たし、追加負担なしで受け取れる品にします。希望品は、標準品と同等以上の必要性能が確認でき、現場の他の装備や設備と干渉しない範囲に限ります。価格が高いことや機能表示が多いことだけで、採用可能な上位品とは判断できません。
選択制度を設けるなら、希望できる品番をあらかじめ限定する方法が管理しやすいです。各自が自由な販売店で購入すると、領収書には商品名しか残らず、必要性能や型式をあとで照合できない場合があります。会社の発注へまとめれば、標準品と希望品を同じ見積書上で比較できます。
| 標準品の金額 | 業務上必要な保護具として会社側の発注・経費とする範囲 |
|---|---|
| 希望品の金額 | 必要性能を満たすことを確認したうえで、標準品と区分して記録 |
| 差額 | 本人負担を設けるなら、対象、金額、支払方法、同意、退職時の扱いを事前に確認 |
見積書と請求書を標準品と希望品で別の行にする
発注先へ見積りを頼む時点で、標準品の品番と単価、希望品の品番と単価、その差額が別の行に並ぶ形を依頼しておきます。「保護具一式」でまとめられた見積りを社内で分解し直すと、金額の根拠が担当者の手元計算になり、数か月後には誰も再現できません。請求書も同じ並びにしてもらえるか、発注前に聞いておくと処理が楽になります。
本人へ負担を求める対象は、差額の行だけに切ります。総額から一定率を引くような決め方にすると、会社が備える側の標準品にまで負担が及んでしまいます。社内の申請書にも「標準品」「希望品」「差額」の三つの欄を作り、本人が署名する時点で自分が払う金額を数字で見られる状態にしてください。
回収の方法は給与控除だけではありません。賃金から差し引く場合は労働基準法第24条の全額払いの原則がかかわるため、可否と手続は給与計算のご担当者へ先に確認し、現金や立替精算など社内で認められる方法も並べて比べます。口頭の希望だけで発注し、支給後に控除を知らせると、金額よりも手順への不満が残ります。
注意
「本人が希望した」という一言だけで差額控除を進めないでください。標準品を選べる状態、希望品の性能確認、差額の明示、本人の意思確認、労務上の手続を発注前にそろえます。
経理上は、会社が負担する標準品と本人から回収する差額を同じ金額として相殺すると、後日の説明が難しくなることがあります。仕訳や証憑の扱いは会社の経理方針によって変わるため、作業着・作業服の勘定科目と経費処理の判断基準も参考にしながら、実際の処理を経理担当者や顧問税理士へ確認してください。
差額だけなら簡単に見えても、給与控除にすると確認事項が増えます。
見積りの段階で標準品と希望品を二行に分けておくと、現場と給与担当の話が早いですよ。
私物の保護具を持ち込ませてよいか
履き慣れた安全靴や、本人が購入した保護帽を使いたいと言われることがあります。しかし私物は、会社の貸与台帳に載らず、品番、購入時期、使用履歴、保管状態が分からないまま現場へ入るおそれがあります。必要性能が同じに見えても、部品の交換歴や強い衝撃を受けた履歴まで外観だけで判断できるとは限りません。
原則として会社の採用品を使う運用にすれば、対象作業、点検項目、交換品を統一できます。例外的に私物を認める必要があるなら、「本人の所有物だから自由に使用できる」とはせず、使用前の承認対象にします。現物だけでなく、製品表示、型式、サイズ、必要性能を確認し、承認者と確認日を記録してください。
私物でも点検と交換の対象から外さない
持ち込みを認めたあとの点検を本人任せにすると、会社の採用品と管理水準が分かれます。着用前点検、定期確認、異常時の使用停止、交換判断は、同じ作業で使う会社支給品と同等に扱います。事故やヒヤリハットの確認時に、誰がどの保護具を使用していたか追える記録も必要です。
私物が破損したときの費用、会社が交換品を渡す条件、退職時に返却しないことも、事前に整理します。必要な保護具が壊れたのに「私物なので次の給料日まで買えない」という状態にしてはいけません。会社の標準品へすぐ切り替えられる在庫と連絡先を用意します。
私物を例外扱いにするなら、承認期限も決めてください。いつまでも有効な許可にすると、作業変更や製品の劣化が反映されません。対象工程が変わったとき、保護具へ異常があったとき、会社の標準品が変わったときに、再確認する仕組みが必要です。
「自分で買った高い品だから安心」とは限らないところが難しいんです。
私物を認めるなら、例外品として台帳と点検へ必ず載せてください。
使い捨ての保護具と消耗品の考え方
使い捨て手袋、耳栓、交換式フィルターなどは、一人へ一個渡して終わる備品ではありません。作業量、汚染、使用時間、保管状態に応じて継続的に交換される消耗品です。初回導入費だけで比較すると、補充予算が足りず、交換すべき時期を過ぎた品が使われるおそれがあります。
年間本数は使用実績と交換条件から見積もる
数量は、対象人数に一律の配布数を掛けるだけでなく、工程ごとの一勤務当たり使用数、稼働日、繁忙期、予備を分けて見ます。薬品の種類や汚染の程度が違えば、同じ手袋でも交換回数は変わります。導入直後は配布数と廃棄数を短い間隔で記録し、実績から発注点と保管上限を見直す方法が現実的です。
「一日一個」のような定期交換と、「破損・汚染時」の状態交換は、どちらか一方だけにしません。製品の使用条件や現場の評価に基づく上限を守りながら、それより前でも異常があれば交換できるようにします。交換理由を残すと、単なる使い過ぎなのか、工程に製品が合っていないのかを見分けやすくなります。

夜勤や屋外作業でも補充できる置場を決め、未使用品と回収品を同じ箱へ入れないようにします。粉じん、湿気、直射日光などで保管中に状態が変わる品もあるため、大量購入の単価だけで在庫量を決めるのは避けます。製品が指定する保管条件と期限を確認し、先に入れた品から使える棚にします。
廃棄と汚染物の扱いまで費用へ含める
使用済みの保護具は、家庭ごみと同じ扱いにできるとは限りません。付着した薬品、油、粉じん、感染性が疑われる物など、現場の廃棄ルールと関係法令に従って分別します。回収容器、保管場所、回収委託などが必要なら、その費用も年間予算へ含めます。
使い捨て品を洗って再使用する、交換式部品だけ別製品へ置き換える、といった変更は、個人の節約判断に任せません。再使用や組み合わせが認められているかを取扱説明で確認し、認められていない使い方は避けます。費用を抑えるときも、交換回数を先に減らすのではなく、工程別の実使用数、発注単位、在庫ロスから見直してください。
消耗品の年間数量を出す前の確認
- 工程別・シフト別の対象人数を分けたか
- 定期交換と異常時交換の条件を決めたか
- 未使用在庫と廃棄数をサイズ・品番別に数えられるか
- 夜勤を含め、必要なときに補充できるか
- 回収容器や廃棄にかかる費用を含めたか
規程と就業規則に書いておく項目
口頭で「会社が支給する」と伝えるだけでは、紛失、破損、私物、差額、退職時の扱いで判断が分かれます。規程には、誰が、どの作業で、何を受け取り、どの状態で交換できるかを、現場で読める言葉で書きます。製品の細かな品番は別表や貸与台帳で管理すると、品番変更のたびに本文全体を直さずに済みます。
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安全衛生上のルールと費用ルールを分ける
安全衛生上の項目には、対象者と対象作業、指定する保護具、着用する場面、着用前点検、異常時の使用停止、交換の申出、保管・清掃、私物の可否を書きます。費用の項目には、標準品は会社が用意すること、希望品を認める条件、差額の算定と支払方法を分けて記載します。紛失や故意の破損が起きた場合も、一律に弁償と断定せず、事実確認と社内手続を通す形にします。
労働基準法第89条は、一定の場合に就業規則へ記載する事項を定めています。従業員に費用負担をさせる仕組みや服務上のルールを設けるときは、就業規則の記載・変更や周知が必要になるかを、労務の担当者や社会保険労務士へ確認してください。規程だけを作って、従業員が見られない場所へ置く運用では、交換や申請の方法が伝わりません。
台帳は「渡した記録」から「使える状態の記録」へ広げる
貸与台帳には、氏名や部署、品番、サイズ、支給日だけでなく、対象工程、点検日、交換日、交換理由、返却・廃棄を残します。使い捨て品は一人ごとの記録が細かくなりすぎる場合があるため、工程や班単位の払出数と廃棄数で管理する方法もあります。どの粒度なら不足と異常を見つけられるかで決めてください。
退職時に返す貸与品と、衛生上再使用せず廃棄する品も分けます。作業着を含む貸与規程の基本は、制服貸与と支給の違い・貸与規程の作り方でも確認できます。ただし、保護具は返却できたかだけで完了にせず、回収後の点検、再使用の可否、廃棄まで記録します。
保護具規程の確認項目
- 対象作業・対象者・指定品を別表と対応させているか
- 支給・貸与・使い捨ての区分が分かるか
- 点検、清掃、保管、交換、回収の担当が分かるか
- 上位品の希望、差額、私物の承認手続が分かるか
- 夜勤や緊急時にも交換できる窓口を示しているか
規程を作ったら、現場で異常品を見つけた人が実際に交換できるかを確かめます。承認者が日中しかいない、台帳は事務所にしかない、予備の鍵を持つ人が不在といった詰まりがあれば、文章が整っていても運用できません。試行期間を設け、交換申請の回数や問い合わせを見ながら別表と在庫を直します。
保護具の会社負担と支給についてよくあるご質問
保護具の購入と管理で迷いやすい点を、会社側の判断順にまとめます。対象作業や法令、製品の使用条件によって結論は変わるため、個別の回答だけで採用品や負担方法を決めず、現場の危険と最新情報を確認してください。
保護具は在籍する全員へ会社が支給するものですか?
全員へ同じ物を配る、という一律の判断ではありません。対象の作業にどのような危険があり、何を使用させる必要があるかを工程ごとに確認します。必要な工程では会社が適切な標準品を備え、サイズを合わせて使用させ、交換できる状態を保ちます。対象外の工程まで同じ品を配ると、在庫と点検の手間だけが増えることになります。
保護帽を紛失した従業員へ代金を請求できますか?
紛失したという理由だけで、一律に全額を給与から差し引く扱いは避けます。まず紛失の状況、会社の保管方法、規程の内容、再発防止を確認し、必要な保護帽は作業前に再び用意します。弁償や給与控除を検討する場合は、労働基準法第24条との関係を含め、給与計算の担当者や専門家へ確認してください。
本人が買った安全靴の領収書を精算すれば会社支給になりますか?
精算した事実だけでは、会社が必要性能を確認し、適切に備えた記録として十分とは限りません。購入前に対象工程、必要な規格・性能、認める品番、サイズ確認、精算上限ではなく会社の標準品を示します。購入後は型式と支給日を台帳へ載せ、会社購入品と同じ点検・交換ルールで管理してください。
上位品の差額を従業員が現金で払う方法なら問題ありませんか?
現金払いにすれば自動的に問題がなくなるわけではありません。追加負担なしの標準品を会社が用意し、希望品が必要性能を満たすかを確認したうえで、差額、支払時期、返金の扱いを事前に明示します。会計処理や領収の方法もあるため、経理・労務の担当者へ発注前に確認してください。
使い捨て手袋は一日一組の支給で足りますか?
一日一組で足りるかは、扱う物、汚染、破損、着脱回数、製品の使用条件によって変わります。工程ごとに実使用数と廃棄理由を記録し、定期交換の上限より前でも異常時に交換できる数量を持ちます。枚数制限だけを先に決めず、夜勤を含めて必要時に補充できる置場も用意してください。
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保護具の費用はすべて同じ勘定科目で処理できますか?
品物の用途、金額、使用期間、会社の経理方針によって処理が変わる可能性があり、一律には決められません。標準品、希望品の差額、使い捨て品、回収・廃棄費用を証憑上で追えるようにします。具体的な勘定科目や税務上の扱いは、社内の経理担当者と顧問税理士へ確認してください。
本記事の情報について
本記事は、保護具の会社負担、支給・貸与、点検、交換、規程に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の作業に対する法的判断や安全性を保証するものではありません。法令、行政資料、製品仕様は執筆時点の情報をもとにしており、その後に改正・変更される場合があります。実際の保護具の選定と運用では、現場のリスクアセスメント、最新の法令・行政資料、製品表示と取扱説明を優先し、安全衛生の担当者や保護具着用管理責任者、必要に応じて所轄の労働基準監督署などへ確認してください。
費用負担、給与控除、勘定科目、課税関係の取扱いは、会社の制度や事実関係によって変わる可能性があります。本記事だけで税務・会計処理や給与控除の可否を断定せず、実際の処理は給与計算の担当者に加え、顧問税理士または所轄の税務署へ確認してください。
よくあるご質問
構内で作業する協力会社の人の保護具は誰が用意しますか?
原則として、その人を雇っている事業者が備える側になります。ただし発注者側が入場条件として種類や性能を指定するなら、指定の内容と、用意するのはどちらかを契約書や入場ルールへ書いておきます。急な応援で持参がなかったときに貸し出す分を、自社の予備数へ含めておくと現場が止まりません。
保護具の代金を手当として渡し、各自で買ってもらう方法はどうですか?
金額を渡すだけでは、必要な性能の品が選ばれたか、いつ交換されたかを会社が確認できません。手当の課税上の扱いも支給方法によって変わる可能性があります。標準品は会社が用意し、手当を使うとしても品番の指定と購入後の型式確認、台帳への登録は残す形にしてください。
年度予算にはどの費目を立てておくと足りますか?
初回導入費、補充費、点検や修理にかかる費用、回収と廃棄の費用を分けて積みます。人数分の購入費だけで組むと、期の途中の増員、工程変更、破損の集中で足りなくなります。前年の払出数と廃棄数を品番別に出し、補充費だけは実績から見積もる方法が現実的です。
サイズの合う保護具が見つからない従業員がいます。どうしますか?
合わない品を「支給済み」として台帳に載せると、着用されていない状態が見えなくなります。まず調整範囲の広い型や小さいサイズの展開がある品番を探し、取扱いのある販売先へ問い合わせます。入手に時間がかかる場合は、その工程へ入る日程を調整する判断も含めて現場と決めてください。
見積りが予算を超えました。性能の等級を下げてもよいですか?
対象の危険に対して必要と決めた性能は、金額を理由に下げる項目ではありません。見直すなら、標準品の品番集約、発注単位、在庫ロス、交換理由の偏りから先に当たります。それでも収まらないときは、工程側で危険そのものを減らせないかを安全衛生の担当者と一緒に検討します。
保護具は現場の担当者が直接注文してもよいですか?
注文の速さは利点ですが、窓口が分かれると同じ用途で違う型式が混ざり、点検項目と交換部品もそろわなくなります。採用品と品番は会社側で決め、注文は決まった窓口へ通す形が管理しやすいです。緊急時だけ現場発注を認めるなら、事後に品番と型式を台帳へ登録する手順まで決めておきます。
ユニフォームのご相談は中村被服へ
「何から決めればいいか分からない」段階でも大丈夫です。現場の状況を伺って、目利きでご提案します。カタログ請求・お見積は無料です。
山口県内(防府・山口・周南・下関ほか)の企業さまへは、営業が直接お伺いします。山口で保護具の支給と発注方法を見直すなら
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。規格・法令の適用可否や最新の仕様は、製品カタログや公的機関・各メーカーの情報で必ずご確認ください。


