制服や作業服を配る準備を始めると、「福利厚生費にすれば従業員には課税されないのか」と迷う場面が出てきます。ところが、判断材料になるのは勘定科目や衣類の価格だけではありません。職務での必要性、着用場所、対象者、私用できるかという実態が問われます。この記事では、非課税とされる条件からロゴ・社名を入れる意味、現金の被服手当との違い、残しておきたい規程と記録まで、発注前に判断できる順で見ていきます。

この記事を書いた人中村被服 企業ユニフォーム事業部創業100年以上・山口県防府市。山口の企業のユニフォーム発注を、営業が現場で日々お手伝いしています。プロフィール →

目次

結論:制服の支給・貸与は非課税とされる定めがある

職務の性質上、制服を着用する必要がある人が使用者から受ける制服その他の身の回り品の支給または貸与による経済的利益には、所得税を課さないとする定めがあります。関係するのは所得税法第9条第1項第6号、所得税法施行令第21条第2号・第3号です。

所得税基本通達9-8では、専ら勤務場所で職務を行う際に着用する事務服、作業服などについても、制服に準じて非課税として取り扱う考え方が示されています。ただし、会社が制服と呼べば自動的に非課税になるわけではありません。職務との関係、対象者、私用可能性を実態から見ていく必要があります。

確認すること説明しやすい状態再確認が必要な状態
職務との関係勤務中の識別・安全・衛生に必要着用するか本人が自由に決める
着用場所専ら勤務場所または職務中通勤・休日にも普通に着用
対象者職場全員または一定職務の全員一部の希望者だけに贈る
外観・仕様所属や職務用と判別しやすい一般的な私服と区別しにくい

国税庁の質疑事例「背広の支給による経済的利益」では、私服としても着用できる背広の支給は、一定の制服などに当たらず、給与等として源泉徴収が必要になる考え方が示されています。高価か安価かより、職務専用性が中心になります。

制服の職務専用性と私用可能性を確認する判断軸 職務との関係、着用場所、対象者、外観と仕様の四項目を規程と実態の両方で確認し、職務専用性が高く私用可能性が低い状態から、職務専用性が低く私用可能性が高い状態までを示す図。私用可能性が高い場合は給与課税を再確認する。 制服の職務専用性を4項目で確認する 名称や価格ではなく、規程と実際の使われ方を合わせて見る 1 職務との関係 識別・安全・衛生など 勤務上の必要があるか 2 着用場所 勤務場所・職務中に 限って着用するか 3 対象者 一定の職務の全員へ 共通基準で配るか 4 外観・仕様 所属や職務用と 判別しやすいか 規程と着用実態の両方で確認 一つの条件だけで結論を出さない 職務専用性が高い 私用可能性が低い 職務専用性が低い 私用可能性が高い 説明しやすい状態 勤務中のみ・共通基準・私服と区別できる 非課税の可否は資料と実態で確認する 給与課税を再確認 休日にも着用・本人が自由選択・私服と同等 使用実態を経理・税務担当へ共有する 左側の事情が多いほど職務専用性を説明しやすいが、自動的に非課税になるわけではない
職務との関係、着用場所、対象者、外観・仕様を並べ、職務専用性と私用可能性を実態から確認する

支給と貸与のどちらでも非課税の対象になり得ますが、所有権や返却の社内運用は別です。貸与なら会社資産として台帳を残し、支給なら対象者と支給基準が分かる記録を用意しておきます。具体的な管理項目は、制服の貸与規程に定める着用義務・返却・台帳項目として整理できます。「税務上はどうか」と「物品をどう管理するか」を一つの言葉で済ませると、退職や交換の場面で話が合わなくなります。

「福利厚生費で買えば大丈夫ですか」というご相談はよくあります。

まずは誰が、どこで、何のために着る服なのかを並べると、経理のご担当者にも相談しやすくなりますよ。

非課税になる条件

発注担当者が最初につまずきやすいのは、「非課税になる服の一覧」があると思ってしまうことです。実際には、職務を行ううえで着るか、私用に着ない・着にくいか、対象職場や一定の職務の従業員へ一貫した基準で配るかを見ます。会社の業務上の必要性がはっきりしているほど、給与の代わりに個人的利益を与えたものではないと説明しやすくなります。

就業規則や制服規程に着用義務があっても、実際には自由な私服として使われていると説明が弱くなります。反対に、規程が簡単でも現場で勤務中のみ着用し、全員が同じ基準で受け取っている場合があります。規程と着用実態を一致させることが必要です。

ポイント

制服規程、対象職務、商品仕様、名入れ指示書、支給・貸与台帳、勤務中の着用ルールは一緒に保管しておきます。請求書だけでは、誰が何のために使うのかまで説明できません。

対象者の全員または一定の仕事に従事する人の全員へ、共通のルールで支給することも確認項目です。管理職だけに一般的なスーツを贈る、成績優秀者へ衣類を贈るといった給付は、制服の支給とは性質が異なる可能性があります。

季節や職種により品目が違っていても、それだけで公平性を欠くとは限りません。同じ会社でも、冷凍庫作業と屋外作業、受付では必要な服が変わります。職務上の必要性に応じた違いを規程の別表に書き、対象外の人がいる理由も答えられるようにしておくと安心です。

現物支給が給与として扱われるのはどんなときか

使用者から従業員が受ける物品やサービスの利益は、原則として現物給与の検討対象になります。制服の非課税はその中の限定的な扱いです。一般的な私服と区別できず、勤務外でも自由に使え、支給対象が職務と結び付かない場合は、給与として課税される可能性があります。

給与と判断される場合は、現物支給の価額を確認し、源泉徴収などの処理が必要になることがあります。会社が購入代金を福利厚生費に計上しただけで、従業員側の課税関係が自動的に決まるわけではありません。会社の勘定科目と従業員の所得税は、関連しながらも別の論点です。

確認したい事情対応
一般的な背広勤務外にも着られるか、所属が分かるか給与課税の要否を確認
カタログから自由選択職務に必要な範囲が定められているか選択基準を規程化
一部社員だけへの贈与職務区分か、報奨目的か給付目的を確認
退職後も自由使用支給か貸与か、返却義務はあるか所有と返却を明確化

「全員に配れば福利厚生だから非課税」とも言い切れません。全員へ同額の商品券を渡して各自が服を買う場合と、会社指定の作業服を職務用に貸与する場合では、従業員が受ける利益の中身が違います。人数だけで決めず、支給方法と使用制限まで見てください。

注意

福利厚生費、消耗品費、給与などの帳簿科目は会社側の記録です。従業員が受ける経済的利益の課税関係は、税法上の条件と実態から別に考える必要があります。

給与課税が必要になれば、源泉徴収する時期や評価額も論点になります。配布した後に伝えると、従業員の手取りが想定外に動くかもしれません。品目を決める前に給与計算のご担当者へ共有し、必要なら本人へ課税の可能性を伝えておきましょう。

ここは「会社の経費になるか」と「従業員に課税されるか」が混ざりやすいところです!

経理へ相談するときは、請求書だけでなく商品写真や着用ルールも見てもらうと話が早いです。

ロゴ・社名が入っていることの意味

会社のロゴや社名が見える位置に入っている作業服は、所属が判別しやすく、私用へ転用しにくくなります。そのため、勤務用の衣類であることを説明する事情の一つになります。ただし、ロゴ入りだけで非課税が確定するわけではありません

たとえば、小さな社名が内側にあるだけで外観は一般的な私服と変わらず、勤務外でも自由に使える服なら、ロゴ以外の条件も確かめたいところです。反対に、ロゴがなくても独特の仕様で、職務中だけ使う衛生服などは私用性が低い場合があります。「ロゴがあるか」の一問だけで結論を出さないでください。

名入れの目的を先に決める

名入れには、所属の識別、顧客からの視認、取り違え防止、私用転用の抑制という役割があります。税務対策のためだけに文字を入れるのではなく、業務上の目的と着用場面から加工内容を決めるのが自然です。個人名を入れるなら、退職後に別の従業員へ再支給しにくくなる点まで考えておきます。

加工方法ごとの見え方や向く素材は、作業服の刺繍とプリントを比較する記事で確認できます。税務の可否ではなく、識別目的と運用に合う方法を選ぶための情報として使います。

制服の名入れ位置を確認する接写
識別目的と再利用性から加工位置を決めます(イメージ)

ロゴや社名のデータ、加工位置、サイズ、色は指示書に残しておきましょう。追加発注で位置や大きさが変われば、同じ制服でも見た目がそろいません。加工記録は、業務用として設計した事情を振り返る補助資料にもなります。

「ロゴを入れれば非課税ですか」と聞かれることもあります。

ロゴは判断材料の一つです。実際の着用場所や対象者もセットで考えてくださいね。

識別性と再利用性のバランス

会社ロゴだけなら、同じ会社内で着用者が変わっても再利用しやすくなります。個人名は取り違えを防げる一方、再支給には向きません。部署名も異動のたびに使えなくなる可能性があるため、貸与品を回収・再利用したい会社では、加工後の運用コストまで比べる必要があります。

会社側の処理:福利厚生費と現物給与を分けて考える

請求書が届くと、まず「福利厚生費でよいか」が気になるかもしれません。職務上必要な制服や作業服を、一定の基準で従業員へ支給・貸与する費用は、福利厚生費などで処理されることがあります。短期間で消耗する作業用品なら、消耗品費を使う会社もあります。ただ、適切な勘定科目は会社の経理方針と取引実態によって異なります。勘定科目を選ぶときは、作業服の勘定科目と名入れ代の扱いも判断材料になります。前年の仕訳だけをそのまま当てはめず、今回の使い方も経理へ伝えてみてください。

一方、私用可能性が高い衣類を従業員へ与えるなら、現物給与としての処理や源泉徴収が必要になることがあります。会社側で損金になるかという話と、従業員側が非課税かという話は似て見えますが、同じ論点ではありません。発注担当者は着用実態を経理へ渡し、経理は課税判断を返すという役割分担が分かりやすいです。

発注資料見積書、請求書、商品仕様、加工指示
対象資料職種別の支給基準、対象者一覧
現物管理支給日、貸与日、数量、品番、サイズ
着用管理勤務中の着用義務、私用の制限
税務資料勘定科目の判断メモ、源泉徴収の確認

作業服をまとめて購入しても、誰に配ったか分からなければ説明は難しくなります。納品書の数量と支給・貸与台帳を照合し、未配布在庫は別に数えておきましょう。追加支給で初回と違う扱いをしたときは、その理由を一行残すだけでも後日の確認が楽になります。

「商品が決まってから経理に聞けばいいですか」というご相談もあります。

用途を考える段階で、私用できるか、誰が着るかまで共有すると、確認の戻りが減りますよ。

追加採用やサイズ交換が多い職場では、支給記録が抜けやすくなります。作業服を少量追加するときの確認事項も押さえ、商品と受領者を結び付けます。

私服手当・被服手当として現金を渡す場合

制服の在庫を持つと、入退社やサイズ交換のたびに管理が増えます。そこで、現物支給をやめて私服手当・被服手当へ切り替えたいと考える会社もあるでしょう。ただし、従業員へ現金を渡す方法は、制服を支給・貸与する方法と税務上の考え方が異なります。使途を仕事着に限っていても、現金の手当は原則として給与として課税される方向で考えるのが一般的です。

「領収書を提出すれば非課税」「制服を買うための手当という名前なら非課税」とは限りません。会社が直接購入して職務用の制服を貸与する場合と、従業員が自由に衣類を買える現金を渡す場合では、従業員が得る経済的利益の性質が異なります。費用を従業員にも負担してもらう案があるなら、作業着の会社負担・自己負担と給与天引きの決め方も併せて確認し、税務だけでなく労務上の扱いも整理します。

では、領収書による実費精算ならどうでしょうか。ここでも、「領収書があるから大丈夫」とは言い切れません。購入できる品目、上限、所有者、退職時の扱い、領収書の宛名が決まっていないと、会社の物品購入を立て替えただけなのか、本人所有の私服購入を補助したのかが曖昧になります。制度名から入るより、購入から返却までのお金と物の動きを追うほうが判断しやすくなります。

現金給付前の確認

  • 現物支給・貸与では目的を達成できないか
  • 購入品と使用場所を会社が指定するか
  • 所有者は会社か従業員か
  • 給与課税と源泉徴収をどう処理するか
  • 領収書と精算記録をどう保管するか

手当を新設または廃止すると、就業規則や賃金規程の変更が必要になる場合もあります。税務だけでなく、労務上の扱いも社会保険労務士へ確認しておくと安心です。手取り額が変わる可能性があるなら、給与明細に反映されてからではなく、導入前に従業員へ説明しておきましょう。

制服貸与と現金手当を比べるイメージ
現物と現金では課税関係の確認が異なります(イメージ)

事務負担を減らすつもりで現金手当に変えたのに、給与計算と課税処理が増えることもあります。発注と在庫だけで比べず、精算や給与計算まで含めた一連の手間を並べてから決めると、切り替え後の行き違いを減らせます。

あわせて読みたい作業服の買い替え時期をどう決める?交換基準・補修・年間費用の考え方記事を読む

規程と記録で説明できる状態にする

規程を作ろうとすると、税務用の固い文章を先に考えがちです。けれども、現場で守れない内容を書いても、実態とのずれが大きくなるだけです。まずは目的、対象者、対象品、支給・貸与の区分、着用義務、私用禁止、標準数量、交換、返却について、今の運用をそのまま言葉にしてみてください。

貸与台帳で押さえたいのは、受領者、部署、品番、サイズ、数量、貸与日、返却日です。支給の場合も、支給基準と対象者一覧があれば、特定の従業員への報奨ではなく職務上の給付だと説明しやすくなります。すべてを一枚に詰め込まず、在庫表と個人別台帳を分けても構いません。

制服更新でデザインや着用範囲が変わるなら、ユニフォーム更新の社内合意と切替手順を使い、規程改定と配布を同じ日程に入れます。古い制服と新しい制服が混在する期間も決めます。

時点残す記録確認者
選定時職務上の目的、商品仕様、試着結果現場・総務
発注時見積書、請求書、加工指示書購買・経理
配布時対象者、品番、サイズ、数量、日付総務・受領者
運用時交換、紛失、異動、私用制限現場責任者
退職時返却または支給済み確認総務

規程と実態がずれていないか、少なくとも商品や組織が変わる時点で見直しておきましょう。着用しない人が増えた、通勤時の着用を認めた、私服に近い商品へ替えたといった変化は、税務判断にも影響し得ます。古い規程を残したままにせず、変わった箇所だけでも更新するのが現実的です。

制服選定から支給記録と税務確認までの流れ 職務と対象者の整理、候補仕様の確認、着用運用の決定、税務と経理の確認、発注と配布、台帳記録と見直しの六段階で進める工程。 制服選定から記録までの6工程 発注前に着用実態と税務処理をつなぎ、配布後まで記録する 1 職務・対象者を整理 目的・職種・対象者・着用場所を 現在の実態から書き出す 2 候補仕様を確認 品番・機能・外観・名入れと 私用可能性を比べる 3 着用運用を決める 支給・貸与、私用制限、保管、 交換と返却の扱いを決める 4 税務・経理を確認 非課税条件、勘定科目、源泉徴収の 要否を発注前に確認する 5 発注・配布 加工指示と数量を確定し、 受領者と現物を照合する 6 台帳記録・見直し 配布・交換・返却を記録し、 商品や組織の変更時に見直す 総務・現場・経理が同じ資料を更新できる状態にする
職務と対象者の整理から税務・経理確認、発注・配布、台帳の更新までを一続きで管理する

総務、現場、経理が同じ資料を見られると、商品名だけで判断する行き違いを防げます。経理は着用実態を知らず、現場は源泉徴収の可能性を知らないことも珍しくありません。発注時の決裁資料に両方の情報を載せれば、それぞれの判断をつなげられます。

発注時に職務専用性を確認する方法

候補が決まり始めたら、デザインの好みだけでなく、勤務場所、着用時間、通勤時の扱い、保管場所を聞いてみてください。会社で保管し、出勤後に着替える運用なら、勤務専用であることが分かりやすくなります。自宅へ持ち帰る場合は、洗濯のためなのか、通勤着としても認めるのかを決めておきます。

候補商品ごとに、一般店舗でも私服として売られている形か、業務用の特徴があるか、会社識別をどの位置に入れるかを横並びにすると判断しやすくなります。ロゴは大きければよいわけではありません。安全性、顧客対応、加工できる生地、洗濯耐久性とのバランスが必要です。

サイズ集計の際は、対象職務の名簿と照合しておきましょう。全員分のサイズを漏れなく集める手順を使えば、支給対象者の記録も同時に作れます。私服のサイズ表記だけで決めず、実際の制服で試着すると交換も減らせます。

発注後は、未配布品を予備在庫として区分し、個人へ渡した数量と分けてください。予備が多すぎると、誰のための購入だったか説明しにくいだけでなく、廃番やサイズ偏在による損失も生じます。交換実績がたまったら、よく動くサイズを基準に適正在庫を見直せます。

支給方法ごとの確認例

まず、製造部門の全員へ会社指定の作業服を貸与し、勤務場所で着てもらう例です。品番と数量を台帳で管理し、私用を禁止して退職時に回収する運用なら、職務上の必要性を説明しやすくなります。「作業服」という名称だけに頼らず、規程と現場運用を資料に残しておきましょう。

例2は、営業担当へ一般的なスーツを支給する場合です。会社が色を指定しても、勤務外に通常の私服として着られるなら、制服の非課税範囲に当たるか慎重な確認が必要です。国税庁の質疑事例でも、私服として着用できる背広の経済的利益は給与等として源泉徴収が必要になる考え方が示されています。

受付担当の全員へ同じ事務服を貸与し、勤務中のみ着てもらう例も考えられます。来客が所属を判別でき、社内で着替えと保管を行う運用は、業務専用性を説明する事情になります。対象者、着用時間、保管場所が規程から読み取れる状態にしておきます。

従業員へ一定額の被服手当を現金で渡し、各自が好みの服を買う例では、会社が「仕事用」と説明しても現物の制服貸与とは性質が異なります。給与課税と源泉徴収に加え、賃金規程へどう記載するかも確認が必要です。

会社指定品を従業員が立て替え購入し、領収書に基づいて精算する例では、所有者を曖昧にしないでください。会社の物品購入を立て替えただけなのか、従業員所有の服を補助したのかで説明が変わります。発注承認、対象品、所有者、精算額、返却の有無を一つの流れで追えるようにしておきます。

支給方法中心となる確認残す資料
指定作業服の貸与職務専用性、対象者、返却規程、貸与台帳
一般的な衣類の贈与私用可能性、報奨性支給目的、対象者一覧
現金手当給与課税、源泉徴収賃金規程、給与明細
立替精算会社購入か個人補助か承認記録、領収書

どの例も、金額が少ないから非課税、高価だから課税という話ではありません。中心になるのは、職務上の必要性と私用性、給付の目的、実際の使われ方です。迷う場合は、商品を配る前に経理へ状況を渡し、必要に応じて顧問税理士などの専門家に確認してください。

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税務確認を発注スケジュールに入れる

制服選定の最終段階で税務確認を始めると、すでに商品と配布日が決まり、仕様を変えにくくなります。企画時点で、対象職種、着用義務、通勤着用、保管場所、支給または貸与をいったん仮置きしてみてください。その段階なら、経理から確認事項が出ても発注条件へ戻しやすくなります。

見積書は、本体、名入れ加工、裾上げ、送料が分かれていると確認しやすいです。税務担当には金額だけでなく、商品写真や仕様書も見てもらいましょう。一般の私服に近いか、会社識別があるかは、勘定科目の文字からは分かりません。

社内決裁に「福利厚生費で処理する予定」とだけ書いても、着用実態までは伝わりません。なぜ職務上必要なのか、誰へどの条件で配るのかを書いておくと、経理も判断しやすくなります。現物給与に該当しないと判断した場合は、確認者と根拠資料も残しておきましょう。翌年の追加発注では、その記録を開き、着用方法や対象者が変わっていないかを確かめられます。

配布時に対象者が変われば、当初の決裁との差が出ます。予定外の役員や取引先へ同じ衣類を贈る場合は、従業員への制服支給と一緒に扱わないほうが分かりやすいです。給付先と目的を分けて経理へ伝えてください。

退職者から回収した貸与品を別の人へ渡すときも、台帳の更新が必要です。新たな購入支出がなくても、所有と使用の記録がなければ職務専用の運用を説明しにくくなります。個人名の刺繍をほどくと生地に針穴が残るため、別の人の名前へ付け替えて再利用する前提にはせず、個人名入りの貸与品をどう扱うかも回収ルールに定めておきましょう。

非課税の説明を保つ定期点検

導入時は制服だった衣類が、時間の経過とともに自由な私服のように使われることがあります。通勤着用を認めた、休日イベントでも配った、着用義務が実質的になくなったという変化がないか、現場へ聞いてみてください。規程だけが古い運用を示していると、実態の説明が難しくなります。

定期点検では、対象職種、配布基準、着用場所、未使用在庫を一緒に見ると効率的です。全員へ配る規程なのに一部の人だけ受け取っていなければ、サイズ不足、申請漏れ、本人の受け取り辞退などの原因が考えられます。紙のうえで公平かではなく、実際に一貫した制度として動いているかが大切です。

制服デザインを私服に近いものへ更新する場合は、職務専用性が変わる可能性があります。ロゴを小さくする、通勤にも使えるジャケットへ変えるといった仕様変更は、税務担当へ事前に伝えます。デザイン会議だけで完結させません。

会社行事の記念品として衣類を配るなら、通常の制服追加とは分けて考えます。参加者が自由に使える衣類は、職務用制服と同じ非課税の説明ができない可能性があります。イベント費用、福利厚生、給与課税のどれに当たるかは、目的と使い方を経理へ伝えたうえで検討してください。

点検で見つかったずれは、規程改定、台帳修正、経理判断の見直しへつなげます。給与課税が必要だと分かったときの過去処理は、会社だけで決められる問題ではありません。資料をそろえ、顧問税理士へ早めに相談するのがよいでしょう。

本記事の情報について

本記事は、制服・作業服の支給または貸与に関する所得税と社内管理について、一般的な情報を提供するものです。個別の制服が非課税に該当すること、特定の勘定科目を使えることを保証するものではありません。

内容は2026年8月3日時点で確認できる所得税法、所得税法施行令、所得税基本通達、国税庁の案内を基にしています。法令や通達の改正、個別の事実関係によって扱いが変わる場合があります。

実際の福利厚生費、現物給与、経済的利益の評価、課税・非課税、源泉徴収の処理は、商品仕様、対象者、職務、着用実態、規程によって異なります。関係資料をそろえたうえで、顧問税理士または所轄の税務署へ確認してください。

よくあるご質問

制服を全員へ同じように配れば必ず非課税ですか?

全員へ配ることは判断材料の一つですが、それだけで非課税になるとは限りません。職務上の必要性、専ら勤務場所で着るか、私用しないまたは私用しにくいか、一定の職務に従事する全員が対象かを確認します。規程と実際の着用が一致しているかも含め、顧問税理士へ相談してください。

会社のロゴを入れれば一般的なジャケットも非課税になりますか?

ロゴや社名は所属を識別し、私用転用を難しくする事情になりますが、ロゴ入りだけで非課税が確定するわけではありません。勤務外にも普通に着られる外観か、着用義務があるか、対象者が職務で統一されているかを確認します。加工前に商品仕様と運用案を経理へ見せてください。

制服を従業員へ支給せず、購入代を現金で渡しても同じですか?

現物の制服を支給・貸与する場合と、被服手当などの現金を渡す場合は扱いが異なります。自由に使える定額の現金手当は、原則として給与課税を検討するのが一般的です。会社指定品の立替精算にする場合も、所有、対象品、領収書、返却を明確にし、源泉徴収の要否を確認してください。

制服代を福利厚生費にすれば従業員は非課税ですか?

会社が使う勘定科目と、従業員が受ける経済的利益の課税関係は別の論点です。福利厚生費に計上したことだけで非課税が決まるわけではありません。制服の職務専用性、対象者、私用可能性、支給・貸与の実態を資料にし、会社側の処理と源泉徴収をそれぞれ顧問税理士へ確認します。

退職後に制服を従業員へ無償で渡すと課税されますか?

会社所有の貸与品を退職時に本人へ無償譲渡すると、在職中の職務用貸与とは異なる経済的利益が生じる可能性があります。中古品の状態や価値、譲渡理由、対象者を確認し、貸与台帳では返却・譲渡を区別します。会社ロゴや個人情報の処理も決め、税務上の扱いは顧問税理士へ相談してください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。規格・法令の適用可否や最新の仕様は、製品カタログや公的機関・各メーカーの情報で必ずご確認ください。

中村被服株式会社 企業ユニフォーム事業部

大正13年(1924年)創業、100年以上にわたる被服づくりの経験を活かし、山口県防府市を拠点に製造業の作業服・事務服・空調服・保護具の選定から、社名刺繍・プリントの自社加工、名入れ後の追加発注まで対応しています。山口・広島・福岡エリアの現場のユニフォームを、選定から運用までまるごとお手伝いしています。