退職者から制服を返してもらう場面では、「クリーニングは本人負担でよいのか」「紛失分を給与から引いてよいのか」と判断に迷いがちです。答えは、会社から渡した服が支給品か貸与品か、就業規則や制服規程で何を決め、入社時にどう伝えたかによって異なるものです。退職日になって初めて条件を示すと、担当者にも従業員にも負担になりかねません。この記事では、返却を頼める条件から回収後の再支給まで、発注担当者が先に決めておきたい実務を順に見ていきましょう。

この記事を書いた人中村被服 企業ユニフォーム事業部創業100年以上・山口県防府市。山口の企業のユニフォーム発注を、営業が現場で日々お手伝いしています。プロフィール →

目次

結論:規程に書いてあるかどうかで決まる

退職時の制服回収で最初に見るのは、会社が所有する貸与品だと書面で示せているかです。会社が代金を払ったという事実だけでは、従業員へ所有権を移した支給品なのか、会社へ返す貸与品なのかが分かりません。規程と実際の運用がそろっているほど、返却の案内はしやすくなります。

制服規程には、対象品、返却期限、返却先、クリーニングの要否、紛失・破損時の連絡方法を載せておくとよいでしょう。作成や見直しでは、制服の貸与規程に必要な項目と作り方も確認しておくと、着用義務から返却、破損、貸与台帳まで一つの運用として整理できます。入社時の受領書には品番と数量を残し、退職の申し出があった段階で本人の所持品と照合します。最終出勤日に初めて一覧を見せるより、探す時間を確保できます。

確認すること返却を案内しやすい状態行き違いが起きやすい状態
所有区分貸与と明記されている支給と貸与が混在している
対象品品番・数量を台帳で追える本人や上司の記憶に頼っている
返却条件期限・場所・状態を入社時から共有退職時に条件を付け足している
費用洗浄費や送料の負担が決まっている担当者によって案内が変わる

規程が見当たらないときは、いきなり弁償や給与控除へ進まないでください。雇用契約書、過去の案内、受領書、交換履歴を集め、これまで支給と貸与のどちらとして扱ってきたかを確かめます。判断が分かれるなら、社会保険労務士や弁護士へ個別事情を見せるのが安全です。

支給品と貸与品を分けて退職時の対応を決める判断軸 規程、受領書、過去の案内、実際の運用を確認し、会社所有の貸与品と確認できれば返却を案内する。従業員へ渡し切った支給品なら原則として返却対象外とし、区分が不明または記録と実態が食い違う場合は、弁償や給与控除へ進まず専門家へ相談する判断図。 「会社が買ったか」ではなく所有区分で決める 退職理由にかかわらず、同じ区分には同じ手順を当てる 1 書面と実態を確認 ・制服規程、雇用契約書 ・入社時の受領書と案内 ・品番、数量、交換履歴 ・これまでの回収方法 呼び方だけで決めない 2 会社所有の貸与品と 示せるか 規程と実際の運用が そろっているかまで見る 貸与と確認できる 返却を案内 品目・数量・期限・返却先を明示 支給と確認できる 原則、返却対象外 区分が不明・記録と実態が不一致 弁償・給与控除へ進まない 資料をそろえて専門家へ相談 今回の個別判断と、今後の規程整備は分けて進める

自己都合か会社都合かという退職理由よりも、同じ所有区分に同じ手順を当てられることが大切です。契約満了や定年退職も同じ入口で確認できれば、感情的なやりとりになりにくいでしょう。

「会社で買ったから、返してもらえるはず」と考えやすいところなんです。

まずは規程と受領書を並べて、貸与と伝わる記録があるか見てみてください。

今回の退職者に対する扱いと、今後の制度づくりは分けて考えます。新しい規程を作っただけで、過去に支給した衣類まで自動的に貸与品へ変わるとは限りません。目の前の案件は専門家へ相談し、再発防止は次の入社者から整える、という二段構えが現実的です。

返却を求められるのは貸与のとき

会社が所有したまま仕事のために使ってもらう貸与品なら、退職や異動で使用目的がなくなったときに返却を求める運用が一般的です。一方、従業員へ渡し切った支給品は、通常は返却対象にしない考え方になります。迷ったら「誰の持ち物か」を一品ずつ確認してみてください。

社内では配布の意味で「制服を支給する」と呼びながら、実際は返却を前提にしている会社もあります。会話上の呼び方と規程上の区分がずれていると、退職時に初めて認識の差が表れます。上着は貸与、インナーは支給というように品目で分かれるなら、別表にしておくと見落としません。

ポイント

退職者へ渡す一覧には、品名、品番、色、サイズ、貸与数量、現在確認できる数量、返却期限、返却先を載せます。社員証や鍵と同じ退職チェックリストへ組み込むと、部署間の確認漏れも減らせます。

貸与台帳で追いたいのは、最初に渡した日だけではありません。サイズ交換、破損による交換、部署異動のたびに、新しく渡した品と戻った品を対にして記録します。古い作業服を回収せず交換だけを重ねると、台帳の数量と本人の所持数が合わなくなります。

返却された作業服の状態点検
洗浄後も機能と破損を点検します(イメージ)

個人名入りの制服も、会社所有の貸与品なら返却対象として扱えます。ただし回収後は別の人へ回しにくく、名前を読めない状態にする処理も欠かせません。名入れを決める時点で、退職後に再利用するのか、会社名入り品だけ回収して廃棄するのかまで考えておく必要があります。

台帳がない会社は、いきなり完璧な制度を目指さなくて構いません。まず現場ごとに品目と着用者を棚卸しし、現物と購入記録を合わせます。その結果を基に、既存従業員への説明方法や必要な同意について専門家へ確認すると、規程だけが先行する状態を避けられます。

クリーニングして返してもらうべきか

退職者が洗って返すのか、会社が回収後にクリーニングするのかに、すべての職場へ当てはまる一つの答えはありません。衣類の洗濯表示、汚れの種類、在職中の扱い、再支給するかどうかを見て決めます。退職時だけ突然費用を求める運用は、納得を得にくいでしょう。

家庭洗濯できる制服なら、「通常の洗濯をして返却」とする方法があります。専門店でのクリーニングが必要なら、対象品、費用を負担する側、指定店の有無を入社時から伝えておきたいところです。在職中からの負担や洗い替えを含む決め方は、作業着のクリーニング代を誰が払うか決める方法に整理しています。会社が再支給前にもう一度専門洗浄する場合は、退職者にも同じ工程を求める必要があるか見直せます。

返却前後の洗浄方法向いている場面先に決めること
退職者が家庭洗濯家庭で扱える一般的な汚れ洗濯表示と返却期限
退職者が専門店へ依頼専門洗浄の必要性が明確な衣類費用、店舗、領収書
会社が回収後に洗浄品質や衛生基準をそろえたい職場回収方法、委託費、保管場所
会社が回収して廃棄再利用せず社名の流出を防ぎたい品個人名の処理と廃棄記録

油、金属粉、化学物質、食品由来の汚れなどは、家庭へ持ち帰らせないほうがよい場合もあります。何が付着しているかを安全衛生の担当者が確認し、洗浄方法と運搬方法を決める流れが必要です。本人のマナーだけの問題にせず、職場の汚染管理として扱います。

注意

在職中は家庭洗濯でよかった制服に、退職時だけ専門クリーニングを求めるなら、その必要性と規程上の根拠を確認します。どの状態なら受領するのかも、退職者が判断できる言葉で伝えてください。

郵送で返せるようにするなら、送料負担、発送期限、追跡できる配送方法、送り先を一枚の案内にまとめておくと親切です。汚れた作業服を通常の荷物として送ってよいかは、別途確認が必要です。迷う汚れがある場合は、梱包する前に会社へ連絡してもらうと判断しやすくなります。

退職者から制服を回収して洗浄、点検、判定するまでの流れ 返却条件を案内し、受領時に品番と数量を照合する。付着物と運搬方法を確認してから適切に洗浄し、衛生、外観、機能、名入れを点検する。最後に再支給、補修や再洗浄、廃棄を判定して台帳へ記録する六工程。 回収して終わりにせず、状態を判定して記録する 危険な付着物は、梱包や家庭への持ち帰りより前に確認する 1 返却案内 対象品・期限・返却先と 洗浄・送料の条件を伝える 2 受領・照合 品番・サイズ・数量を 貸与台帳と現物で確認 3 付着物を確認 油・粉塵・化学物質などを見て 洗浄と運搬方法を決める 4 適切に洗浄 家庭洗濯・専門洗浄・ 会社回収の決定どおりに処理 5 状態を点検 衛生・外観・機能・名入れを 品目別の基準で確認する 6 判定・記録 再支給 補修・再洗浄 廃棄を決め、台帳へ反映 受領時と処理後の数量・状態を残す 洗浄済みでも、点検を通るまでは「再支給可能」にしない

クリーニング代を最終給与から一方的に差し引くのは避けるべきです。労働基準法第24条第1項には賃金全額払いの原則があり、会社が従業員への損害賠償請求権を持つ場合でも、賃金との相殺はできないと厚生労働省が案内しています。個別同意の有効性には自由な意思かどうかも関わるため、給与計算を変える前に社会保険労務士や弁護士、所轄の労働基準監督署へ相談してください。

返ってきた制服を再支給してよいか

返却された服は、洗えばそのまま再支給できるとは限りません。衛生状態、破損、機能低下、サイズ、名入れ、現在の制服との組み合わせを順に見ます。安全性に関わる作業服は、見た目だけでは分からない劣化もあるため、品目別の基準が欠かせません。

肌へ直接触れるインナーや、着用者とのフィットが重要な安全靴は、再利用しにくい場合があります。上着は状態がよければ次の従業員へ回せても、個人名の刺繍があれば除去や再加工が必要です。「洗浄済み」と「再支給可能」を同じ扱いにしないことがポイントになります。

点検項目見るところ考えられる判断
衛生臭い、しみ、洗浄と保管の状態再洗浄、用途変更、廃棄
外観破れ、ほつれ、色落ち補修、再支給、廃棄
機能反射材、ファスナー、制電性など用途制限、交換、廃棄
加工会社名、部署名、個人名再加工、名札変更、廃棄
仕様現行品との違い、廃番の有無予備化、旧品の一括処理

個人名の刺繍をほどくと、生地に針穴や糸の跡が残ることも珍しくありません。上からワッペンや新しい刺繍を重ねる方法もありますが、厚みや見え方は変わってしまいます。除去と再加工の費用、服の残りの使用期間、新品価格を比べてから決めてください。

名入れ方法を決める段階で、回収後に別の従業員へ再支給する可能性まで発注先へ伝えておくと、取り外せる名札やワッペンも含めて比較できます。加工ごとの違いは、刺繍とプリントの選び方で確認できます。個人名を直接入れる場合は、無理な重ね加工を前提にせず、着用者が変わったときの扱いも先に決めておきましょう。

個人名は取り違え防止に便利ですが、着用者が変わると一気に再支給しづらくなります。

人の入れ替わりが多い部署なら、取り外せる名札も候補に入れてみてください。

新しい着用者へ渡すときは、中古品であることと、会社の基準で点検済みであることを伝えます。新品と再利用品が特定の人へ偏らない基準も必要です。本人が新品を希望した場合の扱いまで決めておくと、現場責任者がその場で悩まずに済みます。

会社名入りと個人名入り制服の再支給比較
名入れ範囲で回収後の使い道が変わります(イメージ)

再利用できない制服は、社名やロゴ、個人名が第三者に見える状態で手放さないようにします。廃棄日、数量、理由を台帳へ残せば、貸与中の在庫として残り続けることもありません。回収後の出口まで管理して、ようやく一件が完了します。

返却されないときにできること

期限を過ぎても返ってこないときは、まず本人へ貸与品の一覧と新しい期限を伝えます。メールや書面だけでなく、電話した日時も含めて連絡履歴を残しておくと、どこまで案内したかを引き継げます。既に遠方へ転居しているなら、持参だけにこだわらず郵送や集荷も考えたいところです。

会社側の記録が違っている可能性も先に調べます。交換時に回収済み、現場倉庫へ返却済み、上司が預かったまま総務へ伝わっていない、といった行き違いは起こり得ます。従業員が紛失したと決めつける前に、社内の回収場所と関係者へ確認してみてください。

弁償を求める場面でも、購入時の新品価格をそのまま請求できるとは限りません。使用期間、通常の傷み、残っている価値、紛失の経緯、会社側の管理状態が関わります。労働基準法第16条は、違約金や損害賠償額をあらかじめ決める契約を禁じているため、「未返却なら一律○円」と置く考え方には注意が必要です。

未返却が分かったときの確認順

  • 台帳と社内の回収場所を見直す
  • 本人へ品目・期限・返却方法を伝える
  • 連絡内容と回答を記録する
  • 実際の損害と紛失の経緯を調べる
  • 弁償や法的対応は専門家へ相談する

制服代を給与や退職金から会社の判断だけで控除するのも避けてください。労働基準法第24条第1項の全額払いは相殺禁止の趣旨を含み、損害賠償請求権があっても賃金との一方的な相殺はできないとされています。通常の貸与時も含む費用ルールは、作業着の会社負担・自己負担と給与天引きの決め方を参考に、個別事情を専門家へ確認しながら整えてください。労使協定や本人の署名があれば常に差し引ける、と単純に考えないことが大切です。

ここは「返ってこないなら最後の給与から」という発想になりやすいところです。

回収の話と給与計算は切り分けて、労務の専門家へ一度見てもらいましょう。

実際に弁償を検討するなら、請求の根拠と金額を個別に整理します。ロゴ入り品の流出防止や安全装備の所在確認など、金額以外に返却を求める理由があれば本人へ具体的に伝えます。回収にかかる労力との釣り合いも含め、会社としての判断経路を決めておくとぶれません。

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退職時のやりとりを減らす段取り

回収を円滑にするコツは、最終出勤日から逆算することです。退職の申し出を受けた人事が総務へ連絡し、総務は貸与台帳から対象品を抜き出します。現場責任者が実物の所在を本人と確かめれば、自宅やロッカーを探す日数を取れます。

時期社内で確かめること本人へ伝えること
退職の申出時台帳と対象品の照合返却する品の一覧
最終出勤日前汚れと洗浄方法の確認洗濯、梱包、期限
返却時数量と状態を双方で確認受領済みの控え
退職後洗浄、再支給判定、台帳更新不足があった場合の連絡

窓口では、品目と数量を本人と一緒に見て、受領済みの控えを渡します。「渡したはず」「総務には届いていない」という次のトラブルを防ぐためです。汚れや破損はその場で写真に残し、後日になって状態の説明が変わらないようにします。

退職と採用が重なる時期は、返却品を新入社員用として数えたくなるかもしれません。しかし戻る日も、サイズも、再利用できる状態かも確定していません。新品の必要数を先に押さえ、回収品は追加の予備として評価するほうが、初日に制服が足りない事態を避けやすくなります。

制服返却を双方で確認する場面
受領品と不足品をその場で記録します(イメージ)

追加が必要になったときは、作業服を少量追加するときの納期と加工確認も参考になります。既存品と同じ品番が廃番になっている可能性や、名入れデータが残っているかも早めに確認しておくと安心です。

返却品が予定どおり戻る前提で、新入社員分を組むのは少し危ないんです!

まず新品で必要数を確保して、戻った分は予備に回すと現場が止まりません。

制服は社員証、鍵、端末、書類と同じ返却一覧へ入れると抜けにくくなります。ただし、現物の回収と給与の精算は別の流れです。制服が未返却だから給与支払いも止める、という運用に結び付けないよう社内の役割を分けてください。

入社時に伝えておくこと

退職時の回収を楽にする説明は、入社日に始まっています。制服が貸与品であること、標準の枚数、着用と洗濯のルール、無断で改造しないこと、紛失・破損時の窓口、異動や退職時の返却を一度に伝えます。あとで読み返せる規程の保管場所も知らせておきましょう。

受領書は「規程に同意しました」という一文だけで終わらせず、実際に渡した品番、サイズ、数量、日付を載せます。本人と会社が同じ内容の控えを持てれば、数年後の退職時にも確認できます。電子台帳を使う場合は、誰が変更できるかと変更履歴も大切です。

サイズ交換では、新しい品の貸与と古い品の返却を同じ記録に入れます。最初のサイズ違いを減らすには、採寸だけで決めず、実際の動作を含めて試着してもらいます。交換しにくい雰囲気を作ると、合わない服の着用や無断の譲り合いにつながるため、申告窓口も伝えてください。

クリーニングは、在職中と退職時の扱いを並べて説明すると理解しやすいでしょう。家庭洗濯でよい品、会社が一括洗浄する品、付着物によって持ち帰れない品を分けておきます。退職時だけ条件が増えないようにすれば、担当者の案内も短くて済みます。

規程を変えたときは、既存従業員へ変更点を知らせ、貸与台帳も一緒に棚卸しします。制服そのものを更新するなら、ユニフォーム更新時の切替手順と合わせて旧品の回収期限を決めると、現行品との混在を抑えられます。

回収後の在庫と個人情報を管理する

戻ってきた制服を、そのまま新品の棚へ入れないようにします。未洗浄、洗浄済み、点検待ち、再支給可能、補修待ち、廃棄予定という状態を分けると、未点検品を誤って渡しません。袋に退職者名を付ける場合は、必要な期間だけにとどめます。

再支給できる品は、品番、サイズ、数量、状態、保管場所を在庫表へ反映します。廃番品は現行品と一緒に着られるか、部署内の予備だけにするかを決めます。色や形が似ていても、素材や制電性などの機能が異なる場合があるため、タグと品番まで見てください。

個人名の刺繍、受領書、返却時の写真には個人情報が含まれます。服を廃棄するときは名前が読めない状態にし、写真や台帳は社内の保存ルールに沿って扱います。「念のため」と無期限に残すのではなく、利用目的を終えた情報をどう消すかも決めておきたいところです。

在庫表から未返却数、再支給できた数、廃棄理由、追加購入数を定期的に見ると、発注方法の改善材料になります。個人名が理由で廃棄になる服が多ければ、名札方式へ変える余地があるでしょう。摩耗や衛生が主因なら、再利用を前提にすること自体を見直してみてください。

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返却が難しいケースには代替手段を用意する

病気やけがで退職者が出社できないなら、代理人の持参、郵送、会社側の集荷などを検討します。窓口への持参だけを求めても実行できないためです。送料と集荷の手配、受領連絡の方法を先に決め、健康情報は必要以上に聞かないようにします。

急な退職や連絡不能では、現場のロッカーや会社の保管場所を先に見ます。個人ロッカーを開けるときは社内規程に従い、複数人で確認した記録を残します。私物と貸与品を分け、制服回収の都合で私物まで処分しない配慮が必要です。

遠方へ転居した人には、品目一覧、梱包方法、送り先、期限を文書で伝えます。会社名入りの服は第三者利用を防ぐため、安全装備は状態と所在を確かめるため、というように回収理由まで添えると納得しやすくなります。「貸与品だから」だけで会話を終わらせないことが大切です。

死亡退職では、遺族へ通常の退職手続きをそのまま求めず、会社側で必要性を絞ります。回収する品と連絡窓口を社内で整理し、弁償やクリーニングを当然の前提にしない配慮が要ります。判断に迷う場合は、労務の専門家にも相談してください。

災害や盗難で失われた場合も、通常の紛失と同じ基準を機械的に当てはめるのは避けます。事故記録や警察への届出など、確認できる資料から経緯を見ます。実際の損害と会社の管理状況を個別に考える場面です。

事情考えられる返却方法確認したいこと
出社が難しい代理持参、郵送、集荷費用と受領記録
連絡が取れない社内保管場所の再確認、書面通知私物の保護、連絡履歴
遠方へ転居追跡できる配送送り先、期限、汚染の有無
災害・盗難記録を基にした個別確認一律の紛失扱いを避ける

例外対応をしたら、理由と社内の承認者を記録します。次に似た相談が来たとき、担当者によって結論が大きく変わるのを防げます。細かな例外をすべて規程へ書くより、誰が判断し、どこへ相談するかを明確にするほうが運用しやすいでしょう。

返却案内と受領記録に書く内容

返却案内は督促の文面ではなく、読んだ人が次に動ける情報をまとめたものにします。貸与品の名称、品番、数量、返却期限、窓口、受付時間、郵送先、洗濯の要否、問い合わせ先が基本です。台帳の写しを送る場合は、ほかの従業員の情報が混じっていないかも見てください。

洗って返してもらうなら、「きれいな状態」といった曖昧な言い方は避けたいところです。家庭洗濯でよいのか、専門店を使うのか、落ちない汚れや危険な付着物があれば事前連絡するのかを具体的に示してください。領収書が必要なら、提出先と期限も同じ案内に載せると往復が減ります。

受領記録には、受領日、品目、数量、状態、受け取った担当者を書きます。本人が窓口にいるなら双方で確認し、控えをその場で渡します。郵送品は開封時の確認方法を社内で統一し、追跡番号と受領日を結び付けておきましょう。

不足が見つかっても、その場で紛失と断定する必要はありません。本人の説明と、交換履歴や現場倉庫の記録を照らし、預かった品と未確認品を分けて記載します。後日弁償の話をする可能性があるなら、なおさら事実確認を先に置くべきです。

会社がクリーニング代や郵送料を精算する場合は、制服の受領と費用精算を別の欄にします。窓口担当者がその場で給与計算まで変えず、総務から経理へ所定の様式で渡す流れにすると安全です。担当者同士の口頭連絡だけにしないことが、控除の誤処理を防ぎます。

回収実績から次の発注を改善する

退職者ごとに、貸与数、返却数、再支給可能数、廃棄数、未返却数を残します。個人を評価するためではなく、貸与制度と次の発注を良くするための数字です。台帳と実物の差が続くなら、退職者より前に、交換時や異動時の記録方法を疑う余地があります。

再支給できない理由が個人名に偏るなら、会社名だけの加工、取り外せる名札、小さな名前ワッペンなどを検討できます。衛生や摩耗で使えない品が多いなら、返却して再利用する貸与より、支給品として管理するほうが合うかもしれません。品目ごとに出口が違っても問題ありません。

特定のサイズだけ不足する職場では、退職者から戻る服を待って補充するより、在籍者と採用予定を基に予備を決めます。返却品は、サイズも状態も確実ではありません。洗い替えを含む新品の必要数を押さえ、戻った品は点検後に上乗せする考え方が向いています。

未返却が多い場合も、弁償額を上げる前に、案内の時期と返却方法を見直してみてください。最終出勤日の直前まで本人へ一覧が届かない、現場から総務へ退職情報が流れない、郵送先が分かりにくい、といった社内工程の問題が隠れていることがあります。

見る数字見つけやすい課題見直す場所
台帳と実物の差交換・返却の記録漏れ受領と交換の手順
未返却の理由案内時期や方法の問題退職時の連絡
再支給できない理由名入れ・素材・洗浄の問題商品と加工の選択
サイズ別の回収数予備在庫の偏り追加発注の基準

見直した内容は、制服規程だけでなく、貸与台帳、退職チェックリスト、発注時の条件へ同時に反映します。販売側にも、回収後に再支給したいこと、個人名をどう扱うか、少量追加がどの程度起こるかを伝えてください。初回の購入価格だけでなく、退職と追加まで含めた運用全体で選ぶと、次の担当者にも引き継ぎやすくなります。

本記事の情報について

本記事は、退職時の制服・作業服の返却、クリーニング、紛失、再支給をめぐる一般的な社内運用について、情報を提供する目的で作成しています。個別の返却請求、弁償請求、給与控除が法的に認められることを保証するものではありません。

内容は2026年8月3日時点で確認できる法令と公的機関の案内を基にしています。実際の扱いは、労働契約、就業規則、貸与規程、受領書、過去の運用、制服の状態によって異なります。返却、弁償、賃金控除については、社会保険労務士、弁護士または所轄の労働基準監督署へ確認してください。

制服の損失、弁償金、クリーニング費用、再支給品に関する税務処理も、所有と支払いの実態によって変わります。規程、台帳、連絡記録、請求書をそろえたうえで、具体的な処理は顧問税理士または所轄の税務署へ確認してください。

よくあるご質問

会社が買った制服なら退職時に必ず返却を求められますか?

会社が代金を払っただけでなく、会社所有の貸与品であることを規程や受領書で示し、実際に台帳管理しているかを確認します。従業員へ所有を移す支給品として運用していた場合は扱いが異なります。規程が曖昧なら、過去の説明と慣行を調べ、専門家へ相談してから個別対応してください。

退職者へ専門クリーニングを求めてもよいですか?

規程と入社時説明に根拠があり、対象品に専門洗浄が必要なら検討できます。ただし在職中は家庭洗濯だった制服へ退職時だけ高い基準を求める必要性は確認してください。油や有害な粉塵が付く作業着は家庭へ持ち帰らせず、会社が回収後に適切な業者へ委託する方法も検討します。

返却されない制服代を最終給与から控除できますか?

労働基準法第24条の賃金全額払いの原則があるため、一方的な控除は避けます。会社に損害賠償請求権がある場合でも、賃金との相殺は原則認められないとされています。労使協定や本人同意があれば常に自由に控除できると考えず、社会保険労務士、弁護士、労働基準監督署へ確認してください。

返却品を洗えば別の従業員へ再支給できますか?

洗浄だけでなく、破れ、ファスナー、反射材や制電性などの機能、臭い、サイズ、名入れを点検します。肌に触れる衣類や安全靴は再利用しにくい場合があります。再支給基準を品目別に定め、中古品であることと点検済みであることを新しい受領者へ説明し、貸与台帳を更新してください。

個人名を刺繍した制服は返却後にどう扱いますか?

個人名をほどくと針穴や跡が残り、上から加工すると厚みや見た目が変わることがあります。会社名だけの品より再支給しにくいため、除去・再加工費と残りの使用期間を比べます。再利用が多い職場は、会社名だけ、取り外せる名札、個人名ワッペンなどを発注前に検討してください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。規格・法令の適用可否や最新の仕様は、製品カタログや公的機関・各メーカーの情報で必ずご確認ください。

中村被服株式会社 企業ユニフォーム事業部

大正13年(1924年)創業、100年以上にわたる被服づくりの経験を活かし、山口県防府市を拠点に製造業の作業服・事務服・空調服・保護具の選定から、社名刺繍・プリントの自社加工、名入れ後の追加発注まで対応しています。山口・広島・福岡エリアの現場のユニフォームを、選定から運用までまるごとお手伝いしています。