飲食店の制服を見直そうとして、厨房とホールを同じカタログ、同じ基準で比べていないでしょうか。お客様の前に立つ人には店の印象と動きやすさが求められ、火や油、水を扱う人には汚れにくさや洗濯後の扱いやすさが必要です。採用後は、アルバイトの入れ替わり、サイズ在庫、貸与と返却まで無理なく回らなければなりません。この記事では、コックコート、エプロン、帽子を含む厨房・飲食店のユニフォームを、選定から入れ替えまで判断する順序に沿って解説します。
目次
結論:ホールと厨房は要件が違う。分けて考える
飲食店の制服選びでは、最初にホールと厨房の仕事を分け、それぞれの外せない条件を決めることが近道です。全員を同じデザインでそろえることから始めると、ホールでは印象が合っても、厨房では熱さや油汚れに対応しにくいというずれが起きます。反対に、厨房向けの機能だけを優先すれば、接客する人の動きや店の雰囲気に合わない場合があります。
分けるといっても、店舗全体の統一感を捨てる必要はありません。色、胸元の見え方、エプロンの形など、お客様から見える要素を共通にし、生地や袖丈、ポケットの位置を職種ごとに変える方法があります。共通部分と職種別部分を切り分ければ、世界観と働きやすさを両立しやすくなります。
| 着用場所 | 先に確かめる条件 | 試着で見る動作 | 運用で見ること |
|---|---|---|---|
| 厨房 | 熱源との距離、油・水の汚れ、乾きやすさ、袖や裾の収まり | 鍋を持つ、腕を上げる、かがむ、狭い通路ですれ違う | 洗濯頻度、汚れたときの交換、予備の置き場所 |
| ホール | 清潔感、店内での見え方、接客動作、温度差 | 配膳する、片付ける、しゃがむ、レジや入口を移動する | 役割の識別、身だしなみ、繁忙時の着替え |
| 兼務 | 厨房側の安全性とホール側の印象の両方 | 調理補助から配膳まで一連の動作 | 汚れたまま客前へ出ない交換ルール |
候補を絞る前に、一日の流れを書き出してみてください。開店準備、調理、配膳、清掃、閉店作業では、同じ人でも姿勢や汚れ方が変わります。現場条件からユニフォームを選ぶ基本手順を比較の土台にすると、候補ごとの違いを整理しやすくなります。
発注条件は「全員同じ一式」ではなく、アイテム単位で整理すると判断しやすくなります。シャツはホール専用、コックコートは厨房専用、エプロンの色だけ共通という組み合わせも可能です。洗い替えや予備を含む数量は、デザインを決めた後ではなく、この段階から考え始めます。
「店全体をそろえたいのですが、厨房まで同じ服で大丈夫ですか」というご相談があります。
見た目の共通項を残しながら、働く場所に合わせて仕様を変えると整理しやすいですよ。
厨房で効いてくる条件は耐熱・防汚・速乾
厨房の制服は、カタログにある機能表示だけで決めず、熱源、火、蒸気、熱い液体、油、水、洗剤へどの程度近づくかを確認します。同じ厨房でも、揚げ場、焼き場、仕込み、洗い場では必要な条件が違います。まず配置図と作業を見て、衣服へ何が触れる可能性があるかを洗い出してください。
耐熱は「熱に強い」という一語で決めない
耐熱を検討するときは、素材名やイメージだけで安全性を判断できません。生地の仕様、商品の取扱上の注意、熱源との距離、接触する可能性、着用している時間を合わせて確認する必要があります。高温の器具や炎へ直接触れても問題ない衣服だと考えず、設備、作業方法、保護具を含めて対策します。
袖が長すぎると火や鍋の取っ手へ近づき、短すぎると腕が露出します。前身頃や裾の余りも、狭い厨房では器具に引っ掛かる原因になり得ます。試着では静止した姿だけでなく、実際に使う高さの作業台で腕を動かし、袖口と裾がどこへ来るかを見てください。
防汚と速乾は洗濯の流れまで含めて比べる
防汚加工がある商品でも、あらゆる油汚れが付かないわけではありません。汚れの付きにくさ、落としやすさ、目立ちにくさは別の性質です。採用候補は、現場で多い汚れと普段の洗濯条件を想定し、洗った後の残り方まで比べます。
速乾性は、汗や水分を含んだ後の不快感を減らし、洗い替えを回しやすくする材料になります。ただし、乾きやすさだけで生地を薄くすると、透け、耐久性、熱や汚れへの対応とのバランスが崩れることがあります。インナーを含む着用状態で、透け方と蒸れ方を確認するのが現実的です。
| 熱 | 熱源の種類と距離、袖口・裾の位置、商品仕様と注意表示を照合する |
|---|---|
| 油・調味料 | 付きにくさと、洗った後に落ちるかを分けて見る |
| 水・汗 | 吸った後の重さ、肌離れ、乾燥までの運用を確かめる |
| 動作 | 肩、肘、背中の可動域と、器具へ引っ掛からない形を見る |
機能は多ければよいのではなく、現場で困っている順に優先します。揚げ場は前身頃の汚れ、洗い場は水分、加熱機器の周辺は袖や裾の収まりというように、配置ごとの課題を候補表へ書き込みます。兼務があるなら、最も条件が厳しい作業を基準にしてください。
ポイント
候補品の比較表には、機能名だけでなく「どの作業の、どの困りごとに対応するか」を書きます。目的が分かれば、必要のない機能へ予算をかけにくくなります。
ホールで効いてくる条件は印象・動きやすさ
ホールのユニフォームは、お客様が入口で受ける印象と、スタッフが忙しい時間帯にも動き続けられることを両方見ます。清潔感は白や黒といった色だけで決まらず、サイズが合っているか、襟や前立てが崩れていないか、汚れやしわが目立っていないかにも左右されます。店舗の照明と客席からの距離で、候補品を確認してください。
接客の姿勢を一通り試す
試着では、トレーを持つ、テーブルへ手を伸ばす、食器を下げる、しゃがんで清掃する、階段を移動するといった動作を行います。鏡の前で立つだけでは、背中の突っ張りや裾のずれ、エプロンのひもとの干渉を見つけにくいからです。スマートフォンや伝票端末を携帯する場合は、実物に近い重さをポケットへ入れて試します。
客席と屋外、冷暖房の効いた店内とバックヤードを行き来する店では、温度差も無視できません。上に羽織るものを用意するなら、着脱した後も店舗の印象が崩れず、保管場所が決まる組み合わせにします。私物のカーディガンなどで各自が調整する運用は、色や丈がばらつく原因になります。

飲食店では、制服が接客の役割を伝えるサインにもなります。店長、ホール、調理補助の違いを出したいなら、全身を別の色にするほか、エプロンやタイ、帽子など交換しやすいアイテムで区別できます。役割が変わったときに一式を買い直す必要があるかも、選定時に考えておきます。
見た目の整いやすさを運用で支える
きれいに見えるデザインでも、着用者ごとに裾を出すか入れるかが違えば統一感は弱くなります。ボタンをどこまで留めるか、エプロンのひもをどう結ぶか、帽子をどの位置でかぶるかなど、迷いやすい部分を着用例で共有します。ルールを増やしすぎず、採用時に説明しやすい形を選ぶことも大切です。
ポケットは、収納量よりも中身を入れた後の形を見ます。大きな端末や鍵を入れると生地が引っ張られ、客前で膨らみが目立つ場合があります。業務で必ず持つ物だけを洗い出し、左右どちらの手で出し入れするかまで試すと、位置の合う候補を選びやすくなります。
ホールの服は、試着室より店舗の照明で見たときに印象が変わることがあります。
客席側からも一度見て、背中やエプロンの結び目まで確認してみてください。
油汚れと洗濯の現実を先に確かめる
厨房の制服は、採用時の白さや風合いより、繰り返し洗濯した後にどう見えるかが実用上の差になります。油汚れを放置すると落としにくくなり、強い洗い方を続ければ生地や加工部分が傷む可能性があります。どの汚れが、誰の服に、どの頻度で付くのかを現行品から確認してください。
洗濯表示と普段の洗い方を照合する
候補商品の取扱表示は、購入前に確認します。洗濯温度、漂白、乾燥、アイロンなどの扱いが、店舗や委託先の方法と合わなければ、期待した状態を保ちにくくなります。家庭で洗う運用では、スタッフごとに洗剤や乾燥方法が異なることも前提にしなければなりません。
店舗でまとめて洗う場合は、洗濯機の容量だけでなく、回収、洗浄、乾燥、検品、返却の一周にかかる時間を見ます。閉店後に洗っても翌日に乾かないなら、着数を増やすか、乾燥方法や生地を見直す必要があります。外部サービスを利用する場合も、回収から戻るまでの間に着る分と、汚れたときの予備が必要です。費用負担まで含めて運用を決めるときは、作業着のクリーニング代と洗濯手当の決め方も確認しておくと、スタッフへの案内をそろえやすくなります。
| 確認場面 | 見ること | 発注への反映 |
|---|---|---|
| 回収時 | 油、ソース、漂白剤、水あかなど汚れの種類と位置 | 色、生地、エプロンの丈や交換方法を見直す |
| 洗濯前 | 前処理の有無、他の衣類と分ける必要、ポケット残り | 担当者と保管容器、表示方法を決める |
| 洗濯後 | 汚れ残り、縮み、色落ち、しわ、加工部の変化 | 使用継続と交換の基準をつくる |
| 乾燥後 | 乾くまでの時間、におい、たたみやすさ | 一人あたりの着数と予備を調整する |
白いコックコートは汚れを見つけやすい一方、落ちないしみが目立ちます。濃色は汚れを見えにくくすることがありますが、粉や水滴が目立つ場合もあり、汚れそのものがなくなるわけではありません。現場で多い汚れを候補生地へ付ける試験が可能なら、洗浄後まで観察すると色選びにも役立ちます。

比較用の生地や貸出サンプルがある場合は、実際の洗い方に近い条件で確認します。新品の撥水だけを見ず、繰り返し使ったときの風合い、しわ、色の変化も採用判断へ加えてください。
交換基準は「まだ着られる」より具体的にする
破れ、ほつれ、落ちない汚れ、色あせ、留め具の不具合など、使用から外す状態を決めておきます。本人の感覚だけに任せると、客前に出せる状態の判断がばらつきます。回収時に確認する人と、交換品を受け取る場所が分かれば、傷んだ服を着続けにくくなります。
決めた基準は、書いて残しておきます。飲食店も食品等事業者にあたり、令和3年6月1日の改正食品衛生法の完全施行以降、原則としてHACCPに沿った衛生管理へ取り組むこととされています。従事者の清潔保持は一般衛生管理の一部で、制服の交換基準や洗濯の方法は、衛生管理計画へ書き込む中身になります。小規模な店舗では、業界団体が作成し厚生労働省が内容を確認した手引書を参考に、計画と手順書を用意する方法があります。
この観点で見ると、交換基準を紙にしておく意味は、見た目の統一だけではありません。誰が見ても同じ判断になる書き方(「汚れたら」ではなく「営業前に確認し、落ちない汚れがあれば交換」)にしておくと、そのまま記録に使えます。自店がどの区分に当たるかは、所轄の保健所へ確認してください。
注意
熱い油や薬剤などが付着した服の扱いは、一般的な衣類の洗い方だけで判断しません。現場の安全手順、使用している物質の情報、商品の取扱表示に沿って対応してください。
アルバイトの入れ替わりに耐える設計
飲食店では、採用や退職、勤務日数の変化に合わせて、制服の必要数が動きます。一人ずつ新品を固定して考えると、退職後に使える服が残っていても、次の人のサイズが合わず不足することがあります。個人単位の管理と、店舗で共用できる在庫をどう分けるかが発注設計の中心になります。
個人名を入れる範囲を絞る
会社名や店舗のマークを入れたユニフォームは、役割を伝え、見た目をそろえる手段になります。一方、個人名を直接刺繍すると、退職後に別の人へ回しにくくなります。名札で個人を識別する、役職だけを交換可能なアイテムで示すなど、使い回しやすさを残す方法も検討してください。
刺繍、ネーム、プリントは、見え方、洗濯への耐久性、数量、加工位置によって向き不向きが変わります。候補を比較するときは、ユニフォームの名入れ方法と加工の選び方を参考に、退職後の扱いまで含めて決めます。加工を増やすほど再利用が難しくなるとは限りませんが、個人専用になる情報は慎重に選びます。
在庫は「誰の服」だけでなく「何サイズが何着」で見る
管理表には、着用者、品番、色番号、サイズ、貸与日、返却日、状態、保管場所を残します。退職者から戻った服は、そのまま棚へ戻さず、洗濯と検品を終えたか分かる状態に分けます。名前のない袋が増えると、使える在庫があっても探せず、追加発注が重なりやすくなります。
繁忙期だけ働く人や短時間勤務の人にも、必要な洗い替えと緊急交換分は必要です。勤務日数が少ないことだけを理由に一律で減らすと、汚れたときに替えがありません。シフトの重なり、洗濯の戻り、兼務の有無から、同時に必要になる最大数を考えます。
入れ替わりが多い店ほど、個人名をどこまで入れるかは先に決めたいところです。
共通で使える部分を残すと、新しい方が入ったときの準備が軽くなりますよ。
サイズ展開と貸与の運用
サイズ表の記号が同じでも、商品によって実寸やゆとりは異なります。男女兼用のユニフォームも、すべての体型へ同じように合うわけではありません。厨房では袖や裾の余り、ホールでは肩まわりや着丈の見え方が仕事に影響するため、できるだけ実物で試着します。
普段着の申告だけでサイズを決めない
試着用サンプルは、候補サイズを前後に広げて用意すると比較しやすくなります。中に着るインナー、パンツ、靴、エプロンまで組み合わせ、腕上げ、前屈、しゃがむ動作を試してください。立ったときに合っていても、袖が調理器具へ近づく、背中が引っ張られる、ウエストが座った姿勢で苦しいということがあります。
全員分のサイズを短時間で集めるには、試着日、サンプル、記録方法、未試着者への対応を先に決めます。進め方はユニフォームのサイズをまとめて集める方法で確認できます。体の寸法そのものを共有するより、本人が確認した商品サイズを必要な担当者だけで扱うほうが運用しやすい場合があります。
| 貸与時 | 着用者、商品、サイズ、数量、貸与日、加工の有無を記録する |
|---|---|
| 使用中 | サイズ変更、破損、汚れによる交換と返却の履歴を残す |
| 返却時 | 点数と状態を確認し、未洗濯品と再貸与できる品を分ける |
| 保管時 | 商品番号・色・サイズ別に置き場所と在庫数を見える化する |
貸与品であること、返却する時期、洗濯して返すかどうか、紛失や破損があったときの連絡先は、働き始めるときに伝えます。口頭だけでは、退職時に本人と店側の認識がずれるかもしれません。案内内容を整える際は、制服の貸与規程に定める項目と貸与台帳の作り方も基準になります。雇用形態にかかわらず、同じ案内を確認できる形にしておくと、店長が交代しても運用を引き継ぎやすくなります。
予備は大きいサイズだけに偏らせない
共用の予備を置くとき、幅広く着られそうな一つのサイズに寄せると、袖や裾が余りやすくなります。過去の着用者数と交換記録から、よく動くサイズを中心に複数を持つほうが実用的です。商品ごとにサイズ感が違うため、別品番の在庫を単純に足し合わせず、着用できる組み合わせを確認します。
貸与台帳に残す項目
- 着用者と所属・役割
- 品番、色番号、サイズ、数量
- 貸与日、交換日、返却日
- 刺繍やネームなど加工の有無
- 返却後の洗濯・検品・保管状態
店舗の世界観と色の決め方
制服の色は、ロゴや内装に合うかだけでなく、照明、料理、汚れ、洗濯、追加発注まで見て決めます。画面上の色と実物の生地、昼と夜の照明では見え方が変わります。候補を店舗へ持ち込み、入口、客席、厨房のそれぞれで確認してください。
あわせて読みたい共通色と役割色を分ける
店全体を一色にそろえるほか、ベース色を共通にし、エプロンや帽子だけを役割別に変える方法があります。新人を見分ける必要があるのか、責任者をお客様へ示したいのか、厨房とホールの行き来を区別したいのかによって、色分けの目的は変わります。目的のない色数は、在庫管理を複雑にします。
色だけで役割を伝えると、似た色が照明下で判別しにくい場合があります。エプロンの形、シャツの襟、帽子の有無など、形の違いも組み合わせると識別しやすくなります。色覚の個人差も考え、本人と周囲が迷わない組み合わせを現場で試します。

濃い色は落ち着いた印象をつくりやすい一方、粉、糸くず、水滴が見えやすいことがあります。淡い色は清潔感を表現しやすくても、油やソースのしみが残ると目立ちます。どちらが優れているかを一律に決めず、店で実際に付く汚れと洗濯後の見え方から選びます。
追加するときに同じ色を指定できるようにする
採用した商品の品番と色番号を記録し、画面のスクリーンショットや「濃い紺」といった呼び方だけで残さないようにします。同じ色名でも商品が違えば見え方は変わり、同一商品でも長く着た服と新品には差が出ることがあります。追加分だけが浮く可能性を考え、更新時期と追加方法を決めます。
少人数の追加は、在庫状況や加工条件によって初回と同じ進め方にならない場合があります。必要になってから慌てないよう、ユニフォームを一着だけ追加するときの確認事項も管理担当者間で共有しておくと安心です。採用品が変わった場合の代替候補も、完全に不足する前に相談します。
ポイント
色を決める会議には、新品サンプルだけでなく、可能なら現在使っている洗濯後の制服も並べます。店内での見え方と経年変化を同時に比べられます。
コックコート・エプロン・帽子の選び方
飲食店のユニフォームは、上衣だけで完成するものではありません。コックコート、エプロン、帽子、パンツ、インナー、靴が重なるため、一品ずつ選ぶと結び目やポケットが干渉することがあります。一式を着た状態で、厨房とホールの動作を確認します。
コックコートは前身頃・袖・襟を見る
コックコートは店の象徴になりやすい一方、前身頃に油やソースが付きやすいアイテムです。打ち合わせや留め方が作業中に開きにくいか、襟が首へ当たりすぎないか、袖丈を調整したときに戻りにくいかを見ます。厨房から客席へ出る人は、前からだけでなく横と後ろの見え方も確認してください。
長袖、七分袖、半袖の選択は、季節だけでなく熱源、腕の露出、作業姿勢、空調から考えます。袖を自由にまくる前提にすると、着用状態がばらつき、余った生地が邪魔になることがあります。現場が必要とする袖丈を決め、サイズごとに同じ位置へ収まるかを試します。
エプロンは丈・ひも・ポケットを見る
胸当てエプロンは上半身の汚れを覆いやすく、腰エプロンは上衣の見え方を残しやすいという違いがあります。丈が長すぎれば階段やしゃがむ動作で邪魔になり、短すぎれば汚れやすい位置を覆えません。身長の異なる人が、ひもの調整だけで無理なく着られる範囲を確認します。
首掛け式は調整のしやすさと首への負担、肩掛け式はずれにくさと着脱方法を見ます。腰ひもは、ほどけやすさ、余った部分の収まり、器具への引っ掛かりを確かめてください。ポケットに伝票端末やオープナーを入れるなら、重さで前へ垂れないかも試します。
帽子は髪を収め、作業中にずれない形にする
帽子の目的は店の演出だけではありません。髪をどこまで覆う必要があるか、作業中にずれないか、蒸れによって外したくならないかを確認します。髪の長さや量が違う人、眼鏡を使う人にも試してもらい、締め付けと収まりを見ます。セントラルキッチンや食品製造を伴い、毛髪や付属品などの異物混入対策まで整理する場合は、食品工場の白衣・衛生服を選ぶ基準も判断材料になります。
| アイテム | 現物で確かめる点 | 管理で残す点 |
|---|---|---|
| コックコート | 前の開き、袖丈、襟、肩と背中の動き、透け | 品番、色、サイズ、洗濯条件、加工位置 |
| エプロン | 覆う範囲、ひもの余り、ポケット、重さ、丈 | 役割別の色、共用品か個人貸与か、交換状態 |
| 帽子 | 髪の収まり、ずれ、蒸れ、眼鏡との干渉 | サイズ、貸与数、洗濯と保管の方法 |
| パンツ・インナー | しゃがみやすさ、裾、透け、汗、重ね着 | 組み合わせ、季節差、私物を認める範囲 |
アイテムごとに交換周期が違っても問題ありません。油汚れが集中するエプロンはこまめに替え、上衣は状態を見て交換するなど、傷み方に合わせて考えます。一式でしか貸与・返却できない仕組みにすると、まだ使える品まで同時に外すことになるため、品目別の記録が役立ちます。
エプロンは「フリーサイズだから試着不要」と思われやすいアイテムです。
丈とひもの余りは体格で変わるので、何人かで動いて確かめると安心ですよ。
制服の入れ替えは現場確認から進める
入れ替えは、商品を選んで一斉に配る日だけを決めても円滑には進みません。現行制服の不満、汚れと破損の記録、在庫、洗濯、繁忙期、新人の入社予定を先に集めます。変える目的が「印象の統一」なのか「厨房の負担軽減」なのかで、評価する候補も変わります。
現状把握と候補選定を分ける
店長だけで問題をまとめず、厨房、ホール、洗濯や在庫を担当する人から聞き取ります。要望は、必ず満たす条件、できれば満たしたい条件、好みの三つに分けると、候補を絞りやすくなります。現行品の良い点も残しておくと、変更によって失う機能を見落としにくくなります。
候補は一式を少人数で試し、通常勤務に近い動作と洗濯後の状態を確認します。厨房では熱・油・水、ホールでは配膳・清掃・温度差を見て、兼務者には両方を試してもらいます。感想を「良い」「悪い」で終わらせず、袖、肩、蒸れ、ポケット、汚れ残りなど箇所別に記録します。
採用品が決まったら、サイズ集約、数量確定、加工内容、貸与台帳、旧制服の回収方法をそろえます。納品日だけで切り替えず、検品と仕分けに必要な時間も予定へ入れてください。店舗が営業しながら交換する場合は、旧制服と新制服が混在してよい期間を決めます。
追加と廃番に備えて情報を残す
発注後は、品番、色番号、サイズ、加工データ、初回数量、担当窓口を一か所にまとめます。担当者が変わっても同じ条件を伝えられれば、追加時の確認漏れを減らせます。試着で分かったサイズ感や、エプロンとの組み合わせも残しておくと、新人の準備に使えます。
全体の切り替え計画は、ユニフォームをリニューアルする進め方でも整理しています。採用品の供給状況が変わる可能性もあるため、予備を過剰に抱えるのではなく、定期的に在庫と追加可否を確認してください。代替品が必要になったときは、色だけでなく寸法、洗濯、加工位置まで現行品と比較します。
入れ替え前の最終確認
- 厨房・ホール・兼務者で試着と動作確認を終えたか
- 洗濯後の縮み、色、汚れ残り、乾き方を見たか
- 全員のサイズ、洗い替え、サイズ別予備を集計したか
- 貸与、返却、交換、保管の担当を決めたか
- 品番・色番号・加工データを次回用に残したか
発注先へ条件を伝えるときは、店舗ごとの役割、主な汚れ、洗濯方法、人数が分かると話が早く進みます。個人名を入れるかどうかは加工の可否だけで決めず、退職後に誰が着るのかまで考えてください。再利用を前提にするなら、店舗名だけを加工し、個人の識別は交換できる名札に分ける方法が現実的です。
厨房・飲食店の制服についてよくあるご質問
ここでは、飲食店の発注担当者から出やすい疑問を、選定と運用の判断に絞って整理します。店舗ごとに熱源、料理、洗濯方法、雇用形態が異なるため、回答をそのまま当てはめず、自店の条件と商品仕様を照合してください。
厨房とホールの制服は必ず別にするべきですか?
必ず全アイテムを別にするとは限りません。熱や油を扱わない範囲、兼務の動線、汚れたときの交換方法によっては、シャツやエプロンの一部を共通にできる場合があります。色やデザインは共通にし、袖丈、生地、ポケット、コックコートだけを職種別にする方法も候補です。
白いコックコートと黒いコックコートはどちらが実用的ですか?
白は汚れの発見につながりやすく、厨房らしい印象をつくれますが、しみが残ると目立ちます。黒などの濃色は油の見え方が変わる一方、粉や水滴、色あせが気になることがあります。店の印象だけでなく、主な汚れを付けて洗った後の見え方で比較してください。
あわせて読みたい一人あたり何着用意すればよいですか?
一律の着数ではなく、連続勤務、洗濯から戻るまでの時間、汚れたときの臨時交換、繁忙期のシフトから計算します。着用中と洗濯中に加え、サイズ別の予備が必要です。コックコート、エプロン、帽子で汚れ方や乾く時間が違うなら、品目別に必要数を出します。
個人名の刺繍は入れたほうがよいですか?
本人の識別や洗濯後の仕分けには役立ちますが、退職後に別の人へ貸与しにくくなります。アルバイトの入れ替わりが多い店舗では、店舗名だけを加工し、個人名は交換できる名札にする方法があります。加工位置は、エプロンで隠れないか、一式を着て確認してください。
制服を自宅で洗ってもらってもよいですか?
適否は、付着する油や食品、必要な洗浄条件、衛生管理、商品の取扱表示によって変わります。家庭ごとに洗剤や乾燥方法が異なる点も考慮が必要です。店舗で回収するのか、外部サービスを使うのかを含め、清潔な服を次の勤務へ用意できる方法を選びます。
試着できないスタッフのサイズはどう決めますか?
普段着のサイズだけで確定せず、候補商品の実寸表と、試着した人の結果を手掛かりにします。後日試せる期間を設ける、近いサイズを複数用意して交換できるようにする方法もあります。未試着者を記録し、初回勤務の前に袖・裾・肩の動きを確認してください。
本記事の情報について
本記事は、厨房・飲食店の制服選びに関する一般的な情報提供を目的とし、2026年8月3日時点の情報に基づいて作成しています。実際に必要な耐熱性、衛生管理、洗濯方法、着用ルールは、店舗の設備、作業、扱う食品、商品仕様によって異なります。商品の取扱表示や安全上の注意を確認し、必要に応じて設備・衛生・労務の担当者や各分野の専門家へご相談ください。
制服の購入費、貸与、クリーニング費用などの税務上の扱いは、契約や運用の実態によって判断が変わる場合があります。本記事では個別の税務処理を断定していません。実際の処理は、顧問税理士または所轄の税務署へ確認してください。
よくあるご質問
厨房とホールの制服は必ず別にするべきですか?
必ず全アイテムを分ける必要があるとは限りません。厨房で熱や油に近づく範囲、ホールとの兼務、汚れたときの交換方法を確認し、上衣だけを職種別にする方法もあります。色やエプロンを共通にすれば店舗全体の印象をそろえられます。共通化する品も、両方の動作を試してから決めてください。
白いコックコートと黒いコックコートはどちらが実用的ですか?
白は汚れを発見しやすい一方、洗濯後に残ったしみが目立ちます。黒などの濃色は油の見え方が変わりますが、粉、水滴、糸くず、色あせが気になる場合があります。色だけで清潔さを判断せず、店で多い油やソースを候補生地へ付け、普段の方法で洗った後の見え方まで比べると選びやすくなります。
飲食店の制服は一人あたり何着用意すればよいですか?
一律の着数ではなく、連続勤務の日数、洗濯から返却までの時間、勤務中に汚れた場合の臨時交換、繁忙期のシフトから計算します。着用中と洗濯中に加え、サイズ別の予備も必要です。コックコート、エプロン、帽子で汚れ方や乾燥時間が違う場合は、セット数ではなく品目ごとに必要数を出してください。
アルバイトの制服に個人名を刺繍したほうがよいですか?
個人名は本人の識別や洗濯後の仕分けに役立ちますが、退職後に別の人へ再貸与しにくくなります。入れ替わりが多い店舗では、店舗名や共通のマークだけを加工し、個人名は交換できる名札で示す方法もあります。加工を決める前に、識別の目的、返却後の使い回し、エプロンで隠れない位置を確認してください。
厨房の制服をスタッフの自宅で洗ってもらってもよいですか?
適否は、付着する油や食品、必要な洗浄条件、店舗の衛生管理、商品の取扱表示によって変わります。家庭ごとに洗剤、洗濯温度、乾燥方法が異なる点にも注意が必要です。自宅洗濯、店舗での一括洗濯、外部サービスを比べ、回収から検品、清潔な保管まで無理なく管理できる方法を選んでください。
試着できないスタッフの制服サイズはどう決めますか?
普段着の申告だけで確定せず、候補商品の実寸表と、同じ商品を試着した人の結果を手掛かりにします。後日試着できる期間を設ける、近いサイズを複数用意して交換できるようにする方法もあります。初回勤務の前に袖、裾、肩、ウエストを一式で確認し、厨房で器具へ近づく余りがないかも見てください。
ユニフォームのご相談は中村被服へ
「何から決めればいいか分からない」段階でも大丈夫です。現場の状況を伺って、目利きでご提案します。カタログ請求・お見積は無料です。
山口県内(防府・山口・周南・下関ほか)の企業さまへは、営業が直接お伺いします。山口で厨房・飲食店の制服選びと名入れを相談するなら
あわせて読みたい
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。規格・法令の適用可否や最新の仕様は、製品カタログや公的機関・各メーカーの情報で必ずご確認ください。

