作業手袋を全員へ一種類だけ支給すると、切れにくくても薬品が透過する、厚すぎて細かな操作ができない、回転体の近くで巻き込まれる、といった別の危険が生まれます。選定の出発点は職種名ではなく、手が何に、どのように、どれくらい触れるかです。この記事では、材質の違い、耐切創レベルの読み方、薬品・熱・静電気への対策、使ってはいけない作業、サイズ別の支給と交換まで、発注担当者が現場と確認したい順に整理します。

この記事を書いた人中村被服 企業ユニフォーム事業部創業100年以上・山口県防府市。山口の企業のユニフォーム発注を、営業が現場で日々お手伝いしています。プロフィール →

目次

結論:手袋は作業名ではなく「手が触れるもの」で選ぶ

同じ「組立」でも、薄い板金の端を持つ人、油の付いた部品をつかむ人、細い端子を差し込む人では、必要な作業手袋が違います。職種や部署だけで一括して選ぶと、一つの危険には合っていても、別の危険を見落としやすくなります。危険源から保護具の種類を選ぶ方法と同様に、まず、通常作業と清掃、段取り替え、異常対応を分け、手が触れる対象を洗い出してください。

選ぶ単位は「人」ではなく「接触する対象と動作の組み合わせ」です。刃や鋭い縁なら切創、液体なら薬品名や油の種類、高温物なら温度だけでなく触れる時間、精密部品なら静電気と操作性を確認します。同じ人が一日の中で複数の対象へ触れるなら、手袋も工程ごとに替える前提になります。

手が触れるもの・状況先に確認する危険選定時に見る表示や条件
板金の縁、ガラス、刃物切れ、突き刺し、摩耗耐切創レベル、対象部位、掌の滑り、操作性
洗浄剤、溶剤、薬液透過、浸透、材質の劣化、皮膚への付着化学物質名、濃度、接触時間、温度、製品別データ
油の付いた部品滑り、材質の膨潤や硬化、切創との複合油との適合、掌の加工、交換後のつかみやすさ
加熱物、火花、溶接部接触熱、放射熱、火花、溶融物想定する熱の種類、接触時間、袖口との重なり
電子部品、微細なねじ静電気、汚染、指先の感覚低下手袋を含む装備全体の帯電防止、発塵、フィット
回転する刃物や回転体の近く手袋がつかまれて起きる巻き込まれ手袋を使わない作業か、停止状態で行う作業か

確認は「触れるか、触れないか」だけでは足りません。鋭い縁を握るのか、手の甲がかすめるのか、液へ浸すのか、飛沫を受けるだけなのかで必要な範囲が変わります。連続して接触する時間、力のかかる方向、濡れや油による滑りも、現場責任者と一緒に書き出します。

板金と油付き部品と精密部品の工程で異なる手袋を着用する作業者
手が触れるものと動作によって必要な手袋は変わります(イメージ)

手袋だけを決めても、保護具の組み合わせは完成しません。足元、目、顔、衣服にも同時に危険が及ぶ工程では、それぞれが干渉しないかを見ます。たとえば重量物と鋭利物を扱う現場なら、安全靴の規格・先芯・靴底・サイズの選び方も含め、手と足を別々に発注して終わらせないことが大切です。油や薬品、鋭利な部品を扱う自動車整備の現場では、自動車整備工場の作業服・ユニフォームの選び方も確認し、手袋と衣服を一式で検討してください。

ポイント

候補品を探す前に、工程ごとに「接触物」「接触の仕方」「同時に起こる危険」「手袋を使える作業か」を一行ずつ記録します。商品名から入るより、必要な性能と不要な厚みを切り分けやすくなります。

材質でできることが変わる|作業手袋の種類をつかむ

材質の名前だけで優劣を決めることはできません。綿、合成繊維、革、天然ゴムや合成ゴムには、それぞれ向く作業と注意点があります。さらに、同じ材質名でも、厚さ、編み方、コーティングの範囲、裏地、縫い方が違えば、着用感と保護性能は変わります。

繊維製は編み方と補強材まで見る

綿や合成繊維の手袋は、乾いた物の運搬、梱包、軽作業などで使われます。ただし、一般的な繊維製であれば鋭い縁にも対応できる、とは限りません。耐切創用では、切れにくさを持たせる繊維や補強材を組み合わせた製品があるため、外観ではなく製品表示を読みます。

編み目が細かく薄い手袋は指先を動かしやすい一方、必要な保護を満たすかは別の判断です。厚い編地はクッション性があっても、部品の角や突起へ引っ掛かる場合があります。毛羽や繊維くずを嫌う工程では、発塵や異物混入の条件も先に確認してください。

革は摩耗や火花に使われるが万能ではない

革手袋は、摩耗を受ける運搬や、火花が飛ぶ作業などで候補になります。厚みがあり手を覆っていても、すべての刃、熱、薬品に対応するわけではありません。革の種類、厚さ、縫い目、補強位置を見たうえで、想定する危険に対する製品情報を確かめます。

革が濡れたり油を吸ったりすると、硬さ、柔らかさ、滑りやすさが変わることがあります。乾燥後に硬化した品、縫い目が開いた品を、見た目が残っているからという理由で使い続けないでください。洗濯や乾燥の可否も、一般論ではなく取扱説明に従います。

ゴム系は種類によって薬品・油・滑りへの適性が違う

天然ゴム、ニトリルゴム、塩化ビニルなどは、液体を扱う手袋や掌コーティングに使われます。しかし「ゴムだから水も油も薬品も通さない」とは判断できません。対象の化学物質によっては、短時間で膨らむ、柔らかくなる、硬くなる、見た目に変化がないまま透過することがあります。

掌だけをコーティングした製品は、つかみやすさや摩耗への対策にはなっても、手袋全体を液体から守る構造とは限りません。手の甲、手首、縫い合わせ部から液が入る作業では、防護する範囲も確認します。滑り止めの模様は、乾燥時と油が付いたときの両方で実物を試すと判断しやすくなります。

繊維製・革製・ゴムコーティング・液体防護用手袋の構造比較
材質名に加えて厚さや覆う範囲を比較します(イメージ)

素材名は候補を絞る入口です。最終判断では、製品ごとの試験表示、使用条件、取扱説明、実際の操作性を重ねます。「以前も同じ材質だった」という記録だけで代替品を選ぶと、厚さやコーティングが変わり、現場で外されることがあります。

「同じニトリルなら置き換えられますか」という確認は、発注時によく出ます。

材質名だけでなく、厚さと覆う範囲、対象物への適合まで並べてみてください。

耐切創手袋はレベル表示と試験条件をセットで読む

耐切創手袋のレベルは、切れにくさを比較するための手掛かりです。ただし、規格や試験方法が違えば、記号や評価の考え方も同じとは限りません。カタログの数字や文字が大きい製品を無条件で上位とせず、どの表示に基づくか、候補同士を同じ条件で比較できるかを確認します。

レベルが高いほど全作業に安全とは限らない

高い耐切創レベルは、試験上の切れにくさを示しますが、針や細い金属片の突き刺し、摩耗、衝撃、薬品への強さまで同時に示すものではありません。薄い板の縁を握る作業と、尖った線材を押し込む作業では、危険の方向が違います。切創以外の性能欄と、手のどの面を守る構造かも読み分けます。

厚く硬い製品へ統一すると、ねじをつまめない、工具の握りが浅くなる、指先が余るといった問題が出ます。その結果、作業者が手袋を外したり、指定外の薄手へ替えたりすれば、表示上のレベルが高くても現場の防護は続きません。必要な切れにくさを満たしながら、動作を崩さない範囲を探します。

掌のコーティングと耐切創層を混同しない

掌のゴムコーティングは、滑りや摩耗への対策として使われますが、その見た目だけでは耐切創性能を判断できません。切れにくさを担う繊維がどこまで入っているか、指先や手の甲も対象かを製品仕様で確認します。鋭利物が滑って手の甲へ回る工程では、掌だけを見ても足りません。

乾いた試着でつかみやすくても、油や水が付くと摩擦は変化します。実際の対象物を使える場合は、候補品で持ち上げる、回す、置く、工具を握る動作を行ってください。試す際も、危険な刃へ手を押し当てて性能を確かめるような方法は避けます。

耐切創手袋の編地と掌コーティングと指先の接写
耐切創層と滑り止めの役割は製品表示で確認します(イメージ)

耐切創手袋は、穴が開くまで性能が同じとは限りません。毛羽立ち、編み目の開き、コーティングの剥離、縫い目のほつれがあれば、作業へ戻す前に交換判断が必要です。洗濯後の性能や再使用の可否は製品ごとに違うため、会社側の一律ルールより取扱説明を優先します。

注意

耐切創レベルは「刃物なら何でも防げる」という保証ではありません。試験規格、切創以外の危険、保護する範囲、使用後の損傷を分けて確認し、製品表示の想定を超える使い方は避けます。

薬品・油を扱う現場は材質ごとの透過を確認する

薬品を扱う手袋は、「液が染みていないから大丈夫」という見方では選べません。化学物質は、穴や縫い目から入るだけでなく、手袋の材質へ吸収され、分子のレベルで内側へ移ることがあります。表面が乾いて見えても保護が続いているとは限らないため、対象物質に対する製品別のデータが必要です。

化学物質名・濃度・温度・接触時間をそろえる

化学防護手袋のJIS規格があり、製品には試験した化学物質に対する情報が示されます。選定時は、現場で使う化学物質の正式名称、混合物の組成や濃度、液の温度、連続して触れる時間を整理してください。同じ呼び名の洗浄剤でも配合が変われば、適する材質が変わる可能性があります。

SDSは、物質の危険有害性と保護具を考える入口になります。ただし「保護手袋を着用」とだけ書かれている場合、具体的な製品まで決まるわけではありません。使用物質が製品資料の試験対象にないときは、化学物質の組成、作業内容、使用時間を手袋の製造者や供給者へ伝え、適合情報を確認します。

透過・浸透・劣化を別々に見る

透過は、化学物質が材質へ入り、内側へ分子レベルで移る現象です。浸透は、穴、縫い目、多孔質部分などを通って液が入る現象として扱われます。劣化は、接触によって手袋が膨らむ、縮む、硬くなる、柔らかくなる、割れるなど、材質そのものが変わることです。

試験で示された時間は、一定条件で製品を比較するための情報です。実際の作業では、手を曲げる、こする、引っ張る動作があり、温度や濃度も試験条件と同じとは限りません。表示時間を、そのまま皮膚へ影響が出ない保証時間や安全な連続使用時間へ置き換えないでください。

耐油と化学防護を同じ表示だと思わない

油の付いた部品をつかむ場合は、滑りにくさと、油による材質変化の両方を見ます。「耐油」と表示された作業手袋でも、あらゆる油、溶剤、添加剤、洗浄液へ使えるとは限りません。切削油やグリースに洗浄剤が混ざる工程では、それぞれの化学物質を確認します。

油が付いた手袋は、握力を余計に使わせ、工具や部品を落とす原因にもなります。表面を拭けば再使用できるのか、洗浄できるのか、交換するのかを採用品ごとに決めます。汚染した外面へ素手で触れずに外せる手順と、使用済み品の置場も必要です。

薬品用手袋は「選ぶ・使う・捨てる」を一つの手順にする 現場の使用条件と製品別データをつなげて管理 1 使用条件を確認 化学物質名・濃度 温度・接触時間 2 適合品を選ぶ 透過・浸透・劣化 袖口まで覆えるか 3 着用前点検 穴・亀裂・硬化 変色・内側汚染 4 着用・作業 指定した工程で使用 液が入れば直ちに停止 5 安全に外す 外面へ素手で触れない 指定手順で取り外す 6 隔離・廃棄 使用済み品を分ける 指定の方法で処理する 薬品・濃度・温度・接触時間が変わったら、1から適合を確認し直す
化学物質と作業条件の確認から、選定、点検、着用、取り外し、廃棄までを一方向で管理する

着用前には、傷、穴、亀裂、硬化、変色、内側への汚染を確認します。長い袖口が必要な作業では、防護服との重なりも見てください。手袋の内側へ液が入ったときは、そのまま使い続けず、現場の緊急時手順と製品の指示に従います。

薬品用手袋を発注する前の確認

  • 化学物質の正式名称、混合物の組成や濃度が分かるか
  • 液の温度、連続接触と飛沫のどちらかが分かるか
  • 製品別の透過・浸透・劣化に関する情報があるか
  • 袖口を含め、液が触れる範囲を覆えるか
  • 着用前点検、交換、取り外し、使用済み品の扱いを決めたか

熱・溶接・低温の現場は熱の伝わり方で分ける

耐熱手袋を選ぶときは、「何度まで」という数字だけを探さないことが大切です。熱い物へ直接触れる接触熱、炉などから受ける放射熱、火花や溶融物、炎では、熱の伝わり方が違います。温度に加え、一回に触れる時間、繰り返す回数、つかむ物の形と重量を確認します。

接触時間が延びると手袋の内側にも熱が伝わる

同じ温度の物でも、短く触れてすぐ離す作業と、持ったまま運ぶ作業では条件が変わります。耐熱表示は試験条件に基づくため、現場の接触時間と同じかを製品資料で確かめます。厚い手袋でも内部へ熱がたまることがあり、「最初は熱くない」という感触だけで保持時間を延ばすのは避けてください。

濡れた手袋や油を含んだ手袋は、新品時と同じ状態ではありません。水分、汚れ、圧縮、破れによって熱の伝わり方が変わる場合があります。休憩時には外観だけでなく、焦げ、硬化、薄くなった箇所、縫い目の開きも見ます。

溶接は革という材質名だけで決めない

溶接では、火花、熱い金属、溶融物、鋭い端部が同時に関わります。革は候補になりますが、革製であればすべての溶接工程に合うわけではありません。溶接方法、姿勢、火花が飛ぶ方向、袖口へ入り込む可能性、細かな操作が必要な範囲を確認します。

手袋と作業服の間に隙間があると、火花が入り込むことがあります。一方で、袖口を自己流に折る、切る、固定すると、製品が想定した使い方から外れる場合があります。手袋、袖、前腕を覆う保護具まで一式で試し、着脱方法は製品の説明と現場の安全手順に合わせます。

熱や火花がある工程では、手袋だけ耐熱にしても、化繊のインナーや一般作業服が露出していれば片側だけの対策になります。衣服側の考え方は、難燃作業服と重ね着・洗濯の選び方も参照し、手首まで着用した完成状態で確認してください。

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低温では保温と操作性、濡れを同時に見る

冷蔵・冷凍区画や冬の屋外では、保温だけでなく、冷たい物への接触、風、水分、作業時間が関わります。厚みを増すほど暖かく感じても、レバーや留め具を扱えず手袋を外すなら運用に合いません。必要なら保温層と外側の防護を分け、組み合わせた状態でフィットを見ます。

汗や結露で内側が濡れると、冷えや着脱のしにくさにつながります。乾燥にかかる時間を考え、濡れた品を次の勤務で再使用しない交換体制を用意します。低温用と耐切創用を重ねる場合も、各製品の想定した併用か、指先が余らないかを確認してください。

耐熱手袋は「最高温度」だけで比べたくなりますよね。

実際には、何を何秒持ち、火花がどちらから来るかまでそろえると候補が変わります。

静電気と精密作業の現場は服・手袋・靴・床をつなげて考える

電子部品、精密機器、可燃性物質を扱う現場では、静電気への対策が必要になる場合があります。ここで、帯電防止服の上に一般的な作業手袋を着ければ対策が完成する、とは限りません。服、手袋、安全靴、床、接地の状態と、人の動きまで含めて電気の逃げ道を考えます。

一般手袋への置き換えで装備全体が途切れることがある

手袋には、帯電を抑えることを意図した製品があります。ただし、表示の意味や使える環境は製品ごとに確認が必要です。掌のコーティング、手首の構造、インナー手袋との重ね着によっては、採用時に想定した状態と変わる可能性があります。

逆に、電気を通しやすいことだけを理由に選ぶと、感電の危険がある作業へ誤用されかねません。静電気対策と電気作業の保護は同じ目的ではないため、対象設備と現場の指定を分けてください。異なる危険が重なる場合は、安全衛生の担当者が優先する保護と作業方法を確認します。

精密作業では発塵・汚染・指先感覚も条件になる

精密部品を扱う手袋は、静電気だけでなく、毛羽、粉、可塑剤などによる汚染、指紋や皮脂の付着、指先の操作性も選定条件です。微細なねじや端子を扱うときは、指先が余らず、縫い目やコーティングが対象物へ当たらないかを試します。

湿度、汚れ、摩耗、洗濯は、手袋や周辺設備の状態へ影響することがあります。新品の試着で問題がなくても、使用後の点検と交換まで含めなければ性能は維持できません。現場で測定や管理が定められている場合は、その方法と判定に従います。

帯電防止服の選び方と、靴・床を含む装備の考え方は、帯電防止作業服が必要な現場と一式での確認方法で整理しています。手袋側の候補が決まったら、標準の服と安全靴を着た状態へ戻し、装備全体で矛盾がないかを確かめます。

服は帯電防止なのに、手袋だけ売場で選んだ一般品という組み合わせは見落としやすいです。

一式を着た状態で、現場の基準に戻って確認しましょう!

手袋を使ってはいけない作業がある

手を守るための手袋が、機械につかまれるきっかけになる作業があります。ボール盤や面取り盤など、回転する刃物に手が巻き込まれるおそれがある作業では、手袋を着用したまま近づく考え方は危険です。労働安全衛生規則に、回転する刃物に手が巻き込まれるおそれのある作業では手袋を使わせないという定めがあります。

耐切創レベルを上げても巻き込まれは防げない

切れにくい手袋へ替えても、回転体が編地やコーティングをつかむ危険はなくなりません。丈夫な材質であるほど安心、という考えを持ち込まず、手袋を外すべき作業かを先に判定します。機械の名称だけでなく、回転する刃物、チャック、材料、切りくずへ手を近づける場面を確認してください。

切りくずの除去、刃の交換、清掃、調整を行う場合も、通常運転とは分けて考えます。停止ボタンを押しただけでよいかを自己判断せず、機械ごとの停止、動力の遮断、再起動防止、専用工具の使用など、事業場の手順に従います。手袋の着脱だけで機械側の危険を解決しようとしないことが大切です。

着用禁止を掲示するだけでなく作業の境目を決める

一人が材料運搬と穴あけを続けて行う場合、どの位置で手袋を外し、どこへ置き、いつ再着用するかが曖昧になりがちです。機械の直前で慌てて外す運用では、床や機械上へ放置したり、次の運搬を素手で始めたりします。作業の境界と保管場所を決め、監督者と作業者の認識をそろえます。

袖口のゆるみ、衣服の裾、タオル、ひも、アクセサリーなども、回転体の近くでは別の巻き込まれ要因になります。手袋だけを禁止して終わらせず、着用する作業服と携行品を含めて確認してください。製造現場の衣服選定は、製造業の作業服を安全面から選ぶ基準も合わせて整理できます。

注意

「短時間だから」「薄手だから」という理由で、回転する刃物の近くへ手袋を持ち込まないでください。対象作業の判定、機械の停止や清掃方法は、現場のリスクアセスメントと作業手順、機械の取扱説明を優先します。

サイズが合わないと外される|支給と交換を月単位で設計する

必要な性能を満たした手袋でも、サイズが合わなければ使い続けてもらえません。大きすぎると指先が余り、細かな部品をつまめず、余った部分が周囲へ触れやすくなります。小さすぎると指の間が浮き、握るたびに生地や縫い目へ負担がかかり、疲れや破損につながります。

一種類のサイズで全員を合わせない

手の大きさは、掌の幅だけでなく、指の長さ、親指の位置、手首回りでも違います。少なくとも候補の複数サイズを用意し、実際の動作でフィットを確かめます。サイズ記号が同じでも製品が変われば寸法や伸び方は異なるため、別品番へ替えるときは試着を省かないでください。

試着では、指先の余り、指の付け根まで入るか、握ったときの突っ張り、手首のずれを見ます。次に、対象物を持つ、工具を操作する、記録を書くといった通常動作を行います。厚いインナー手袋と重ねる現場なら、二枚を組み合わせた状態が基準です。

全員分の号数を集める考え方は、作業服にも共通します。回収票の作り方や未回答者への対応は、作業服のサイズを全員分そろえる手順を応用できます。ただし、手袋は左右差や製品ごとの伸びもあるため、衣服の号数から推測せず、採用品を着けて決めます。

一人何双ではなく月に何双を使うかで考える

作業手袋は消耗品です。初回に一人へ何双渡すかだけでなく、一人が月に何双を交換するか、工程ごとの差を記録します。切創、油、薬品、熱を扱う班では傷み方が違うため、全社一律の交換頻度にすると、必要な現場で不足し、傷みの少ない現場で余ります。

必要数は、対象人数、工程ごとの平均使用数、洗浄や乾燥で戻らない分、予備、入社や応援者の分に分けて考えます。最初から年間数を固定するより、導入後の一定期間で支給と廃棄を記録し、実績から月間使用数を見直すほうが現場に合います。季節や生産量が変わる職場では、繁忙期と通常期も分けます。

管理項目記録する内容判断に使う場面
採用品品番、サイズ、対象工程、対応させる危険似た外観の手袋との取り違えを防ぐ
支給部署・工程別の配布数、配布日、受取方法月に何双必要かを見直す
交換理由穴、切れ、剥離、硬化、膨潤、焦げ、汚染、紛失製品との相性や作業方法を見直す
在庫サイズ別の未使用数、使用中、洗浄中、廃棄待ち必要なサイズを欠品させない
変更履歴代替品、変更理由、試着者、承認日担当者が変わっても選定理由を追う

交換日は一律にせず、状態と使用上限を組み合わせる

目で見て分かる交換の合図には、穴、切れ、縫い目の開き、コーティングの剥がれ、硬化、膨らみ、焦げなどがあります。一方、化学物質の透過のように、外観だけでは分からない変化もあります。製品や作業で使用時間の上限が定められている場合は、その条件を守り、見た目がきれいでも使い続けない運用が必要です。手袋以外の装備も同じ台帳で管理する場合は、保護具の日常点検・定期点検と交換時期も基準づくりに使えます。

洗って再使用できるかも、材質名だけでは決められません。洗濯によって寸法、コーティング、耐切創性能、帯電防止性能が変わる可能性があります。再使用を認めるなら、洗浄方法、乾燥、点検、戻す工程を採用品ごとに確認し、個人の判断で持ち帰って洗わないようにします。

4つの記録を一枚で照合し、次月の支給へつなげる 人数だけでなく、工程・品番・サイズをそろえて集計する 1 サイズ別試着 指先・付け根・手首 採用品で実動作 2 月間支給数 工程別の平均使用数 繁忙期・通常期 3 交換理由 穴・切れ・剥離 硬化・汚染・紛失 4 サイズ別在庫 未使用・使用中 洗浄中・廃棄待ち 同じ月・工程・品番で照合 サイズ分布 × 平均使用数 + 予備 / 交換理由の偏り 数量の判断 次月のサイズ別補充数・予備数 仕様・運用の判断 品番・交換基準・作業方法を見直す
サイズ別試着、月間支給数、交換理由、在庫を同じ単位で照合し、次月の数量と仕様を見直す

支給ルールには、「いつ受け取れるか」だけでなく、異常があるときに誰へ渡し、どの品と交換し、使用済み品をどこへ置くかを含めます。予備が管理室にあっても、夜勤中に受け取れなければ、作業者は破れた品を使い続けるかもしれません。各シフトで交換できる窓口と、サイズ別の置場を用意します。

手袋は「一人二双支給」で終わらせると、傷みの早い工程から足りなくなります。

交換理由と月の使用数を一緒に残すと、次回の発注量が決めやすくなりますよ。

作業手袋の選び方についてよくあるご質問

発注時に迷いやすい点を、現場での確認方法と合わせて整理します。同じ名称の手袋でも性能や使用条件は異なるため、回答だけで製品を決めず、採用品の最新表示と取扱説明を確認してください。

耐切創レベルが最も高い手袋を全員へ支給すればよいですか?

全員を最高表示へそろえる方法が最適とは限りません。切創以外の突き刺し、油、薬品、熱、静電気は別に確認が必要です。厚みや硬さで操作性が落ち、作業中に外される可能性もあります。工程ごとの危険を評価し、必要なレベルとフィットを両方満たす候補を試します。

耐油手袋なら洗浄剤や溶剤にも使えますか?

耐油という表示だけでは、すべての洗浄剤や溶剤への適合は判断できません。化学物質の正式名称、組成や濃度、温度、接触時間をそろえ、製品別の透過・浸透・劣化データを確認します。資料に対象物質がなければ、製造者や供給者へ作業条件を伝えて確認してください。

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作業手袋は洗濯して再使用できますか?

洗濯できる製品はありますが、すべてではありません。洗剤、温度、乾燥方法、洗濯回数によって、寸法、コーティング、耐切創や帯電防止の性能が変わる場合があります。汚染した薬品用手袋を一般の洗濯へ混ぜないことも大切です。製品の取扱説明に再使用条件がなければ、供給者へ確認します。

薄手と厚手の手袋を二重にすれば性能を足せますか?

二重にしても、表示された性能が単純に足し算されるわけではありません。指先が余る、握りにくい、内側がずれる、手首が締まるといった変化も出ます。化学防護や低温対策で組み合わせが指定される場合はその条件に従い、自己流で重ねず、二枚を着けた状態で操作性と着脱を確認します。

穴が開いていなければ交換しなくてよいですか?

穴以外にも、毛羽立ち、縫い目の開き、コーティングの剥離、硬化、膨潤、変色、焦げ、内側の汚染は交換判断の材料です。化学物質の透過のように外観で分からない変化もあります。製品や作業に使用時間の上限があれば、見た目に異常がなくても、その条件を優先してください。

同じ作業手袋を会社全体で共通在庫にできますか?

梱包など共通化できる工程はありますが、危険の異なる作業まで一種類へ統一しないほうが安全です。共通在庫にする場合も、対象工程、使ってはいけない作業、サイズ、交換条件を明示します。色や保管棚を分け、似た手袋の取り違えを防ぐと、夜勤や応援者にも正しい品を渡しやすくなります。

本記事の情報について

本記事は、作業手袋の選定、支給、交換に関する一般的な情報提供を目的とし、特定の製品や作業の安全性を保証するものではありません。法令、規格、行政資料、製品仕様は執筆時点の情報をもとにしており、その後に改正・変更される場合があります。実際の選定では、現場のリスクアセスメント、最新の法令と製品表示、取扱説明を優先し、安全衛生のご担当者や保護具着用管理責任者などの専門担当へ確認してください。

手袋の購入費や支給方法に税務上の判断が関わる場合、事業形態や運用によって取扱いが変わる可能性があります。本記事だけで課税・非課税や勘定科目を断定せず、実際の処理は顧問税理士または所轄の税務署へ確認してください。

よくあるご質問

手袋のサイズは何種類そろえればよいですか?

採用品のサイズ表に合わせて決めますが、まずは候補品を全員に試着してもらい、出てきた号数を集計してください。該当者が一人でもいる号数は、欠品させないよう常時一双か二双を置いておくと安心です。号数の記号が同じでも品番が変われば実寸や伸び方は違うため、代替品へ切り替えるときは集計をやり直します。

来期の予算を組むとき、年間の必要数はどう見積もればよいですか?

工程ごとの一人あたり月間使用数に、人数と稼働月数を掛けるところが出発点になります。そこへ繁忙期の割増、サイズ別の欠品を防ぐ予備、入社や応援者の分を足していきます。導入初年度は実績がないため、一定期間の支給数と廃棄数を記録してから見直すほうが、実態に近い数字になります。

使用済みの薬品用手袋は、どこへ置いて誰が片づけるのですか?

外面が汚れた手袋を作業台や床へ置いたままにしない運用が要ります。工程ごとに蓋のある回収容器を決め、置き場所と回収の担当者、回収する頻度を掲示してください。一般ごみへ混ぜず、扱う化学物質ごとの処理方法は、製品の取扱説明と供給者の指示、事業場の廃棄手順に従います。

派遣社員や短期の応援者にも、同じ手袋を渡すべきですか?

同じ工程へ入るなら、保護の内容を分けないほうが安全です。受け入れが決まった時点でサイズを聞いておき、初日に採用品を渡してください。使ってはいけない作業と、交換を受け付ける窓口も、その場で口頭で伝えます。掲示だけに頼ると、短期間で入れ替わる人ほど情報が届きません。

手袋に名前を書いて個人管理にしたほうがよいですか?

傷み方を工程別に記録したい現場では個人管理が向きますが、記名の方法には注意が必要です。油性ペンのインクがコーティングや材質へ影響する場合があるため、記名してよいか、どこへ書くかを取扱説明で確かめてください。共用で回す工程なら、記名より色や保管棚を分けるほうが取り違えを防げます。

今使っている手袋を別の品番へ切り替えるとき、どう進めればよいですか?

全社一斉ではなく、まず一つの工程で期間を決めて試すやり方が安全です。その間は交換理由と使用数を旧品と同じ様式で記録し、同じ条件で比べられるようにします。作業者からは、つかみやすさと指先の余りを具体的に聞き取ってください。承認日と試着者を残すと、担当者が代わっても選定理由をたどれます。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。規格・法令の適用可否や最新の仕様は、製品カタログや公的機関・各メーカーの情報で必ずご確認ください。

中村被服株式会社 企業ユニフォーム事業部

大正13年(1924年)創業、100年以上にわたる被服づくりの経験を活かし、山口県防府市を拠点に製造業の作業服・事務服・空調服・保護具の選定から、社名刺繍・プリントの自社加工、名入れ後の追加発注まで対応しています。山口・広島・福岡エリアの現場のユニフォームを、選定から運用までまるごとお手伝いしています。