現場の熱中症対策を任されたとき、空調服や飲料を用意するだけで十分なのか、判断に迷う方は少なくありません。対策は、暑さを測る、作業を調整する、休める環境をつくる、異変を早く見つけるという複数の層で考える必要があります。服装はその一部であり、ほかの対策と組み合わせて初めて役割を果たします。この記事では、現場責任者が準備から緊急時までを見直せるよう、WBGT、服装、水分、休憩、教育、装備の順に整理します。

この記事を書いた人中村被服 企業ユニフォーム事業部創業100年以上・山口県防府市。山口の企業のユニフォーム発注を、営業が現場で日々お手伝いしています。プロフィール →

目次

結論:服装は現場の熱中症対策を支える一部

最初に決めたいのは、空調服を何着買うかではありません。どの作業場所で、いつ危険が高まり、誰が作業を止め、体調不良を誰へ報告するかです。その仕組みに服装、水分、休憩所、冷却用品を組み込むと、道具だけが先行するのを防げます。

現場の熱中症対策は「環境・作業・人・緊急対応」の四つで点検すると整理しやすくなります。一つだけ良くしても、残る弱点から事故につながる可能性があります。たとえば通気性のよい服装でも、長時間の連続作業や体調不良を補うことはできません。

対策の層現場で確認すること服装との関係
環境WBGTの測定、日射や熱源の遮断、換気、冷房、休憩場所服の工夫より先に、作業場所そのものの暑さを下げられないか考える
作業身体負荷、連続時間、人数、時間帯、交代、休憩重い作業や保護具を伴う作業では、より慎重に余裕を取る
当日の体調、暑さへの慣れ、睡眠、食事、持病や服薬への配慮同じ服を着ても受ける負担は一人ずつ異なる
緊急対応報告先、作業離脱、身体冷却、救急要請、搬送先、付き添い衣服をゆるめるなど、発症後の対応も事前に決める

この四つを一枚の点検表にすると、購入品と運用ルールを同時に見直せます。「用意したか」だけで終わらず、「作業中に使えるか」「異変時に動けるか」まで確認してください。

現場の熱中症対策を四つの層で比較する図
服装を含む対策を、環境・作業・人・緊急対応に分けて考えます(イメージ)

熱中症は、発生を防ぐ対策と、発生したときの重篤化を防ぐ対応の両方が必要です。発症を完全にゼロにできる道具はないため、早期発見と作業離脱の仕組みを残しておきます。

「空調服を配ったので対策は完了」と考えると、休憩や報告の穴が残りやすいんです。

道具と運用を一枚の表で見直すと、抜けに気づきやすくなりますよ。

事業者に求められるようになった熱中症への備え

2025年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され、一定の条件に当たる作業では、熱中症のおそれがある人を早く見つけて重篤化を防ぐための対応が事業者に求められるようになりました。中心になるのは、報告体制を整えること、必要な措置の手順を作ること、関係する作業者へ周知することです。単に用品を購入する義務へ置き換わったわけではありません。

厚生労働省の資料では、対象の目安として「WBGT28以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えることが見込まれる作業」が示されています。ただし、数値だけで安全を宣言するものではありません。実際の作業強度、着用する保護具、熱源、個人の状態も含めて判断する必要があります。

注意

制度の対象、実施方法、最新の改正内容は、厚生労働省の「職場における熱中症予防情報」および所轄の労働基準監督署でご確認ください。現場の条件によって必要な対応は変わります。

報告体制では、「本人が不調を感じたとき」と「周囲の人が異変を見つけたとき」の両方を想定します。現場代理人や班長の名前だけでなく、不在時の代行者、電話番号、無線の呼出方法まで決めておくと迷いません。協力会社や短期入場者にも伝わる形が必要です。

手順には、作業から離脱させる場所、身体を冷やす方法、救急要請の判断、医療機関や搬送先の情報を含めます。「本人が大丈夫と言ったら帰宅」で終わらせると、移動中や一人になったあとに悪化するおそれがあります。体調不良者を一人にしないことも、現場の手順として決めてください。

周知は、掲示物を貼るだけでは伝わったか確認できません。朝礼で報告先を読み合わせ、実際の休憩所と冷却用品の場所を示し、新しく入る人にも同じ説明を行います。言語や雇用形態が異なる作業者がいる場合は、図や実演も組み合わせると理解の差を小さくできます。

暑さ指数(WBGT)は現場ごとに測って考える

気温が同じでも、湿度が高い、日差しが強い、炉や屋根から熱を受けると、身体の熱は逃げにくくなります。暑さ指数(WBGT)は、気温だけでなく湿度や日射・輻射熱の影響を取り入れ、暑熱環境による負担を捉える指標です。温度計だけを見るより、現場の危険を具体的に判断できます。

環境省が公表する地域の予測値は、当日の計画を立てる入口になります。ただし、実際の作業点は、観測地点と条件が違います。直射日光の当たる足場、風が止まる倉庫の奥、蒸気が出る洗浄工程などでは、作業者がいる位置と高さで測ることが大切です。

確認の場面見る値判断につなげる方法
前日・始業前地域のWBGT予測、天気、最高気温、湿度人員、開始時刻、作業順、休憩場所を前もって調整する
作業開始時実際の作業位置のWBGT作業強度や服装に対応する基準と比べ、実施可否を判断する
作業中時間経過による値の変化、日射、風、熱源の状態測定時刻を決め、急上昇時に中断や交代へ移れるようにする
場所の変更時移動先のWBGT同じ敷地内でも別の環境として測り直す

WBGTの数値は、身体作業強度と着衣の条件を合わせて評価します。厚生労働省の資料には、作業強度別のWBGT基準値や衣類の組み合わせに応じた着衣補正の考え方があります。防護服、化学防護衣、つなぎ服などは熱を逃がしにくい場合があるため、測定値だけをそのまま使わず、該当する補正の有無を確かめます。

予測・測定・記録を作業変更につなげる 朝の一回だけで終わらせず、場所と工程が変わるたびに確認する 1 予測を確認 前日・始業前 地域のWBGT・天気 2 現場で測定 作業者の位置・高さ 移動先でも測り直す 3 条件を加味 身体作業強度 着衣補正・個人の状態 4 判断 作業を続けるか 対策を変えるか 5 記録 時刻・場所 値・作業・対策 必要なら、その場で作業を変更 中断・交代・休憩・時間変更・作業強度の低減 対策後は同じ作業位置で測り直す 値が上がりやすい時刻・工程を決めて再測定し、翌日の計画にも反映する
予測値を入口に現場で測定し、作業強度と着衣条件を加えて判断・記録し、必要な作業変更へつなげる

測定器は置き場所で値が変わります。空調の吹き出し口の直下や、実際には誰も作業しない涼しい場所だけで測ると、負担を小さく見積もることになります。機器の取扱説明書に従い、定期的な点検や校正の要否も確認してください。

ポイント

「朝に一度測って終わり」ではなく、値が上がりやすい時刻と工程を先に決めます。測定値、時刻、場所、作業内容、行った対策を一緒に残すと、翌日の作業計画にも使えます。

服装でできること・できないことを分ける

夏の服装には、汗や熱を逃がしやすくし、動作を妨げず、必要な保護性能を保つ役割があります。通気性、吸汗速乾性、ゆとり、重量、肌への張り付きにくさを比べると、作業中の負担を減らせる場合があります。一方で、服だけで高温多湿な環境を安全に変えることはできません。

薄ければよいとも限りません。火花、薬品、鋭利物、静電気、視認性などの危険がある現場では、それぞれに必要な保護性能を外さないことが先になります。暑さ対策のために袖をまくる、前を開ける、指定外のインナーへ変える行為が、別の事故リスクを高める場合もあります。

服装で調整しやすいこと生地の通気、汗の乾きやすさ、重ね着、サイズ感、動作性、洗濯後の乾きやすさ
服装だけでは解決できないこと高いWBGT、強い輻射熱、長時間作業、休憩不足、脱水、睡眠不足、緊急時の連絡
同時に守ること職場で必要な防炎、帯電防止、高視認、衛生、巻き込まれ防止などの条件

サイズは、立った姿だけで決めず、しゃがむ、腕を上げる、工具を持つといった動作で確認します。小さすぎる服は空気の通り道を狭め、大きすぎる服は機械への引っ掛かりにつながることがあります。職種ごとの動作と着用ルールを合わせる視点は、作業内容から作業服を選ぶときの確認項目も参考になります。

静電気対策が必要な場所では、夏用の薄い服へ変える際も性能表示を確認します。素材名の印象だけでは判断せず、職場の設備や作業との適合を安全担当者へ確認してください。帯電防止作業服の考え方と選び方を先に整理すると、涼しさと保護性能の優先順位を決めやすくなります。

「一番薄い生地なら涼しい」とは限りません。

必要な保護性能を残したうえで、通気や動きやすさを比べるのが順番です。

空調服が効く場面と効かない場面

ファン付きウェア、いわゆる空調服は、外気を衣服内へ取り込み、汗の蒸発を助けることで身体から熱を逃がしやすくする装備です。風が首元や袖口まで通り、汗が蒸発できる条件では、着用時の負担軽減が期待できます。肌に触れる衣類も風や汗の処理に関わるため、空調服のインナーを選ぶ基準も合わせて確認します。屋外作業だけでなく、冷房を効かせにくい屋内の工場や倉庫でも選択肢になります。

ただし、周囲の空気そのものを冷やす機器ではありません。外気が非常に高温な場所、湿度が高く汗が蒸発しにくい場所、輻射熱が強い場所では、期待する効果が得にくいことがあります。粉じん、可燃性ガス、火花、水濡れ、回転体がある工程では、ファンや電気部品を使えるか別途確認が必要です。工程ごとの判断は、空調服が使えない現場と導入前の確認方法で整理できます。

導入前に現場で確かめること

  • 風の入口になるファンを塞がないか
  • 首元や袖口まで空気が抜けるか
  • 安全帯、ハーネス、工具袋と干渉しないか
  • 粉じんや水、火花、可燃性物質の条件に適合するか
  • 一日の作業時間に対して電源が持つか
  • 休憩、充電、保管、洗濯を誰が管理するか

導入判断はカタログの最大風量だけで行わず、実際の作業姿勢と装備を再現して試します。複数人で着用し、風の通り方、重さ、騒音、動きにくさ、バッテリー位置を確認してください。選び方の全体像は、現場条件に合わせた空調服の選び方でも確認できます。

工場で空調服と保護具の干渉を確認する様子
実際の保護具と作業姿勢を再現して試着します(イメージ)

空調服を入れても、WBGT測定、水分、休憩、作業変更、体調確認は残ります。故障、充電切れ、着用できない工程もあるため、装備が使えない時間の代替策を決めておきます。空調服を着ている人が無理をしやすくならないよう、休憩の基準を個人の感覚だけに任せないことも大切です。

水分と休憩は「取れる仕組み」まで設計する

飲料を箱で置き、「各自で水分を取る」と伝えるだけでは、作業の区切りがない人ほど後回しにします。手を止めにくいライン、持ち場を離れられない警備、移動が多い配送などでは、交代要員や停止の合図がなければ休憩へ移れません。現場ごとに、水分補給と休憩を実行できる段取りが必要です。

休憩は回数だけでなく、場所の質も見ます。直射日光を避けられるか、冷房や送風があるか、座れるか、飲料を補充できるか、体調不良者を横にできるかを確認します。作業場所から遠すぎる休憩所は、短い休止では使われにくくなります。

決める項目現場での問い運用例
飲料作業者がすぐ手に取れるか、衛生的に保管できるか作業区域ごとに置き、補充担当と在庫確認の時刻を決める
水分・塩分大量に汗をかく条件か、摂取に配慮が必要な人がいるか一律の強制ではなく、医師の指示や健康状態にも配慮する
休憩時刻WBGTや作業強度が上がったときに増やせるか固定休憩に加え、管理者が追加休憩を指示できるようにする
交代一人が抜けても作業を安全に止められるか代替要員、停止手順、引継ぎ方法を事前に決める
記録実際に休めたか、対策が足りたかを振り返れるか時刻、場所、WBGT、作業内容、体調申告を簡潔に残す

水分や塩分の必要量は、発汗量、食事、持病、服薬などで変わります。短時間に大量摂取させるのではなく、厚生労働省の資料や産業医等の助言を基に現場の方法を決めてください。糖分や塩分の摂取に制限がある人へ一律の飲料を勧めない配慮も必要です。

飲み物が置いてあっても、持ち場を離れられなければ飲めません。

交代する人と合図まで決めて、初めて「取れる休憩」になりますよ。

屋内でも熱中症が起きるという現実

熱中症は炎天下の屋外だけで起きるものではありません。工場、倉庫、厨房、洗浄室、機械室などの屋内でも、熱源、湿気、風の弱さ、屋根からの輻射熱が重なると負担が高まります。外が曇っていても、建物の中に前日までの熱が残る場合があります。

屋内で見落としやすいのは、建物全体の室温と、作業者が立つ一点の環境が違うことです。炉の前、乾燥機の横、トラックの荷台、天井近くの足場、冷房が届かない棚の間では、事務所の温度計を見ても判断できません。作業位置でWBGTを測り、工程別に記録します。

屋内は「作業者のいる一点」で判断する 工場・倉庫を一つの室温で見ず、負担が重なる場所を探す 熱源 炉・乾燥機・機械 稼働率が高い時間 湿気 蒸気・洗浄・厨房 汗が乾きにくい工程 風の停滞 棚の間・倉庫の奥 給気が届かない場所 屋根の熱 輻射熱・天井付近 前日から残る熱 作業位置・作業者の高さでWBGTを測る 熱源の近く・高所・風の止まる場所は別々に測定 負担が高い・上昇している 換気・遮熱・冷房・送風・時間変更を組み合わせる 対策後も同じ場所で確認 実際にWBGTが下がったかを再測定して記録する
熱源・湿気・風の停滞・屋根の輻射熱を分けて点検し、作業位置のWBGTで対策の要否と効果を判断する

換気も、外気を入れれば必ず涼しくなるとは限りません。外気温が高い時間に熱い空気を取り込む、排気と給気の位置が合わず作業場所に風が届かない、といったことがあります。換気、局所冷房、遮熱、送風、作業時間の変更を組み合わせ、実際のWBGTが下がったか確認してください。

ポイント

屋内点検では、熱源の近く、風の止まる場所、高い位置、湿気の出る工程を別々に測ります。「屋根があるから安全」ではなく、作業者のいる場所で判断します。

入出庫が多い倉庫では、シャッターの開閉や車両の出入りで環境が変わります。工場では、設備の稼働率や清掃工程によって熱と湿気が増えることがあります。平常時の一回測定だけで終えず、負荷が高い時間帯も対象にしてください。

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体調管理と教育で異変を早く伝えられる現場にする

同じ環境で同じ作業をしても、熱の受け方は一人ずつ異なります。睡眠不足、食事を取れていない状態、二日酔い、発熱や下痢、暑さに慣れていない時期などは、体調へ影響します。持病や服薬については本人のプライバシーに配慮し、産業医や医療職の助言につなげる仕組みを用意します。

朝の確認で「元気ですか」とだけ聞くと、不調を言い出しにくい人がいます。睡眠、食事、発熱、下痢、普段と違うだるさなど、答えやすい項目に分ける方法があります。ただし、チェック欄を埋めることが目的にならないよう、申告があったときに作業変更や休憩へ移す権限を決めておきます。

暑熱順化は、身体が暑さに慣れていく過程です。長期休暇明け、新規入場、急に暑くなった日、涼しい場所から配置転換した直後は、十分に慣れていない可能性があります。初日から通常どおりの負荷をかけず、作業時間や強度を段階的に調整します。

教育で確認する内容

  • 熱中症の初期症状と、本人・周囲からの報告方法
  • WBGTをどこで見て、誰が作業変更を判断するか
  • 水分補給、休憩、暑熱順化の考え方
  • 涼しい場所、冷却用品、緊急連絡先、搬送先
  • 意識がはっきりしない、自力で飲めない場合の対応
  • 不調者を一人にせず、経過を確認すること

教育はシーズン前の一回だけでなく、新規入場時や対策を変更したときにも行います。管理者には判断と連絡の訓練、作業者には申告と相互確認を中心に伝えると、役割が明確になります。二人以上で互いの様子を見るバディ制や定期連絡も、早期発見を助けます。

めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉のけいれん、頭痛、吐き気、強いだるさ、判断力の低下などが見られたら、熱中症を疑って作業から離します。意識がはっきりしない場合は直ちに救急隊を要請します。意識があっても自力で水分を取れない、冷却しても改善しないときは、現場だけで様子を見続けないでください。

「迷惑をかけるから」と不調を我慢する方もいます。

申告したら誰が交代するかまで決まっていると、早めに声を上げやすくなります。

装備は選定・配布・点検・交換まで整える

夏用の作業服や空調服は、購入した時点では運用の入口です。誰に何を渡したか、必要なサイズがそろっているか、洗い替えがあるか、故障時に代替できるかまで考えます。現場が複数ある会社では、拠点ごとの不足と余剰が見える台帳が役立ちます。

選定時は、職種、作業場所、必要な保護性能、着用する安全帯や保護具、洗濯方法、保管場所を一覧にします。空調服を衛生的かつ安全に使い続けるには、ファンとバッテリーを外す洗濯・乾燥・保管の手順も配布時に共有します。同じ会社でも、溶接、組立、荷役、運転では条件が違います。一種類へそろえる利点と、工程別に分ける必要性を比べてください。

段階担当者が決めること見落としやすい点
選定保護性能、通気性、サイズ、ほかの装備との干渉カタログだけで決め、実際の姿勢で試着していない
配布個人貸与か共用か、予備、洗い替え、着用説明新人や応援者の分がなく、暑い時期に追加手配となる
日常点検破れ、汚れ、ファン、電源、ケーブル、取付部不具合を誰へ返すか決まっておらず、そのまま使われる
洗濯・保管電気部品の取り外し、洗濯表示、乾燥、充電場所部品の混在、水濡れ、高温の車内保管が起きる
交換交換の判断、廃棄、追加購入、互換性の確認旧型と新型を混ぜ、使用できない組み合わせが生まれる

全社で切り替える場合は、現場テストから始め、使用者の意見と測定結果を残します。サイズ回収、納品、旧品の扱い、着用開始日までを逆算すると、繁忙期の混乱を減らせます。ユニフォームを一斉更新するときの段取りも参考になります。

夏用作業服の生地と各部の接写
通気性だけでなく、保護性能や装備との干渉も確認します(イメージ)

装備の候補を絞るときは、品番、着用する人数、工程、必要な保護性能、併用する保護具を一覧にすると比較しやすくなります。通気性や軽さだけで決めず、試着結果と現場の測定結果を合わせて、採用する範囲を判断してください。

安全基準や使用可否の最終判断では、製品の取扱説明書、事業場の安全衛生担当者、産業医等の見解を優先してください。

現場の熱中症対策でよくあるご質問

最後に、対策を運用へ移す段階で発注担当者や現場責任者から出やすい質問をまとめます。現場の設備、作業強度、健康状態で答えは変わるため、判断の入口としてご覧ください。

気温が31度未満なら通常どおり作業できますか

気温だけでは判断できません。湿度、日射や輻射熱、風、身体作業強度、服装によって負担は変わります。作業位置のWBGTを把握し、着衣補正や作業者の状態も含めて評価してください。法令上の対象目安を下回ることと、熱中症の危険がないことは同じではありません。

空調服を着れば休憩を減らせますか

空調服の着用だけを理由に休憩を減らすのは避けます。効果は温度、湿度、汗の量、作業姿勢、風の通り方で変わり、電池切れや故障もあります。WBGT、作業強度、暑熱順化、体調を見ながら、作業中断や休憩の判断を別に設けてください。

屋内で冷房があればWBGT測定は不要ですか

冷房があっても、作業場所まで冷気が届かない、設備から熱や蒸気が出る、扉の開閉で環境が変わる場合があります。事務所の設定温度だけで判断せず、作業者の位置で確認します。特に炉、乾燥機、洗浄工程、荷台、天井近くは別の測定点として考えます。

本人が水分を取って休めば、そのまま一人で帰宅させてよいですか

自己判断で一人にするのは避けてください。症状が改善したように見えても再び悪化する可能性があります。意識がはっきりしない、自力で飲めない、冷却しても改善しない場合は救急隊を要請し、それ以外も事前の手順に沿って医療機関への相談や経過確認を行います。

朝礼で何を伝えればよいですか

当日のWBGT予測、実測する場所と時刻、追加休憩の判断者、飲料と休憩所の位置、体調不良時の報告先を短く共有します。前日と同じ内容を読むだけでなく、作業場所や工程の変更を反映してください。新規入場者には緊急時の動線も実際に示します。

夏用作業服は全員同じ仕様にそろえるべきですか

管理はしやすくなりますが、工程によって必要な保護性能や動作が違う場合は一律化が適さないことがあります。まず職種ごとの危険、保護具、洗濯条件を整理し、共通化できる範囲を決めます。試着では複数の体格を含め、実際の姿勢で通気と干渉を確認してください。

本記事の情報について

本記事は、現場の熱中症対策と作業服選びに関する一般的な情報提供を目的としています。2026年8月の執筆時点で、厚生労働省「職場における熱中症予防情報」「職場における熱中症防止のためのガイドライン」、環境省「熱中症予防情報サイト」などの公的資料を確認しています。法令、通達、ガイドラインは改正されることがあるため、最新情報は厚生労働省の資料でご確認ください。

実際の安全衛生管理、作業の継続・中止、救急対応は、現場の条件に応じて安全衛生担当者、産業医、医療機関、所轄の労働基準監督署等へご確認ください。本記事だけで個別の法的判断や医療判断を行うことはできません。税務上の処理が関係する場合も断定せず、顧問税理士または所轄の税務署へ確認してください。

よくあるご質問

WBGT測定器は作業場のどこに置けばよいですか

空調の吹き出し口や日陰など、実際の作業位置より涼しい場所だけで測らないようにします。作業者がいる位置と高さを基本に、熱源の近く、風の止まる場所、日射条件が変わる場所を分けて測り、機器の説明書に従って設置・点検してください。測定条件も記録します。

協力会社の作業者にも自社の報告手順を伝える必要がありますか

同じ現場で対象となる作業に関わる人が、異変時に迷わず動ける状態が必要です。元請・協力会社の役割分担を確認し、報告先、代行者、休憩所、冷却用品、救急時の動線を入場時と朝礼で共有してください。周知した記録も残すと運用を振り返れます。短期入場者も対象にします。

塩分入り飲料を全員へ同じ量だけ配ればよいですか

必要な水分や塩分は、発汗量、食事、持病、服薬などで変わります。全員へ同量の摂取を強制せず、厚生労働省の資料や産業医等の助言に沿って方法を決めてください。糖分・塩分の制限がある人への配慮と、本人が申告しやすい連絡先も必要です。飲料の在庫と保管温度も確認します。

空調服の試着はどのくらい具体的に行うべきですか

実際に使う安全帯、ハーネス、工具袋、ヘルメットなどを装着し、腕上げ、しゃがみ、運搬といった作業姿勢を再現します。首元まで風が抜けるか、ファンを塞がないか、ケーブルやバッテリーが動作を妨げないかを複数の体格で確認してください。使用者の感想も記録します。

体調不良者の症状が休憩で軽くなれば作業へ戻してよいですか

一時的に軽く見えても再び悪化する可能性があるため、その場の本人判断だけで復帰させないようにします。事前に定めた手順に沿って管理者が状態を確認し、必要に応じて医療機関へ相談してください。意識が不明瞭、自力で飲めない、改善しない場合は救急要請が必要です。

熱中症教育の記録には何を残すとよいですか

実施日、対象者、講師、扱った内容、使用資料、質問と回答を残します。報告先や緊急手順を変更した場合は、改訂日と再周知の対象も記録してください。受講署名だけで終えず、休憩所や冷却用品の場所を理解できたか、短い確認や実演で確かめると実務につながります。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。規格・法令の適用可否や最新の仕様は、製品カタログや公的機関・各メーカーの情報で必ずご確認ください。

中村被服株式会社 企業ユニフォーム事業部

大正13年(1924年)創業、100年以上にわたる被服づくりの経験を活かし、山口県防府市を拠点に製造業の作業服・事務服・空調服・保護具の選定から、社名刺繍・プリントの自社加工、名入れ後の追加発注まで対応しています。山口・広島・福岡エリアの現場のユニフォームを、選定から運用までまるごとお手伝いしています。